学校・教育

「パパみたいにならないでね」という母親のグチが子どもをダメにする

世代間連鎖を防ぐ子育て論(5)
信田 さよ子 プロフィール

自分をめぐってパパとママが言い争いをしているのですから、ひとこと「うん、パパのいうとおりだよ」とでも言おうものなら、母親は自分を裏切り者という目で見るでしょう。もちろん、逆も起こります。

子どもたちの多くは、そんな空気をいち早く読み、ひたすら沈黙し、どちらにもつかない態度を示すしかないのです。両親の平和がそのまま自分の平和につながるのですから、そうするしかありません。

このように、イクメンがそのまま両親(夫婦)間の平和につながらないということは、自覚されるべきでしょう。

子どもは「仲間はずれ」でもいい

子どもの視点に立てば、主たる育児者をもういっぽうの親は尊重し支えなければならないということが見えてきます。

両親ともに働いていても、やっぱり母親が中心の育児であれば、父親はその補助・支援者の役割に徹するべきだということです。

時間もないのに、イクメンだからと主導権を握ろうとすれば、それは子どものためにはならないでしょう。むしろ自分の力を示すためのものになってしまいます。

極論すれば、母親にとっては、口も手も出さずに無関心なままでいてくれたほうがいいということにもなりかねません。時間と労力を使いながら、あくまで妻の方針を尊重すること、これがイクメンの正しい姿でしょう。

 

どうしても目に余る妻の育児態度があるとしても、それは子どもの前で指摘しないで、二人だけのときにやんわりと妻が傷つかない言葉を使って説明し、説得するべきでしょう。

ケイコさんの例は、母と子と父が、二対一になっていました。夫婦の不和の多くは、「母子」対「父」という二対一の構図を生み出します。

イクメンの例では、子どもをめぐる覇権争いでしたが、これも二対一(母子対父、または父子対母)であることに変わりありません。

大切なことは、父と母が二になるべきで、子どもは一でいいということです。子どもが仲間はずれになったと感じたとしても、母と父が二人でチームを組んでいるほうが、前述の二対一よりもはるかに望ましいといえます。

月並みな結論めいていますが、夫婦が仲がいいこと、二人が連携をとって主たる育児者を尊重する態度を示すこと。

これがいわゆる「母子密着」といわれる状態、それがもたらすさまざまなリスクを避けるために必要なことだと思っています。

(→第6回「面前DVという"新しい虐待"」はこちら http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52839