現代新書

学校では習わなかった…日本を襲う「悲劇的な未来」を回避する方法

「未来から見た日本」と「過去から見た見本」
堤未果×矢部宏治

『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(集英社インターナショナル)という本を書いたときに全体の構造がはっきりわかったんですけど、書きながら少しずつわかっていったことだったので、読みやすい本にはならなかった。だから今回この本(『知っては行けない――隠された日本支配の構造』)で、その全体像を思いっきりわかりやすくまとめたということです。

堤: これは矢部さんが今までお出しになってきた、たくさんの本の重要部分がすべてコンパクトに収まったダイジェスト版で、初めての方にもわかりやすく工夫されていて素晴らしいですね。

矢部: ありがとうございます。この本の売りは、章の冒頭に全部四コマまんがが入って、これだけ読んでもだいたいの内容はわかるという(笑)。

堤: これですよ! 私は読みながら思わす「マンガいいなあ!」と感動しました。しかも章の最初に四コマを置くというのが秀逸な構成ですね。

矢部: そう、自分が何ヵ月もかけてすごく苦労してまとめたことを、ぼうごなつこさんという漫画家の人なんですが、全部1週間ぐらいで、あっという間に描いてきた(9本の四コマまんがを無料公開しているページはこちら)

 

堤: あれだけの文字の情報を一気にすくいとる……マンガって本当にすごいですね。

矢部: それで過去7年、日本の戦後史を、とくに1945年から52年の占領期を中心に、多くの研究者の方たちといっしょに調べてきて、やっと現在までたどりついた。それで水面の上にぱっと顔を出したら、この堤さんのこの素晴らしいアメリカ報告・アメリカ研究が広がっていたということです。

堤: ありがとうございます。

矢部: ある意味で堤さんは、現在の日本を未来から見ている。『貧困大国』のパート3(『(株)貧困大国アメリカ』)で書かれていますが、アメリカの市民がいま苦しんでいる「社会の貧困化」というのは、日本の近未来を鏡のように映し出している。しかしその一方、それは確定した未来じゃなく、自分たちが真実の情報を知り、もう一つの選択肢をもつことで、必ず変えられるんだという強いメッセージが伝わってきます。

今日、お会いして直接お伝えしたかったのは、堤さんはそうやって未来から現在の日本を見ている。ぼくらは過去から見ている。だけど、解決したいと思っている問題はまったくいっしょだということなんです。事実を知り、現在とは別の選択肢を持つことで、「悲劇的な未来」の訪れをなんとか食い止めたい。そうした思いも、まったくいっしょです。

ですから、ぼくらは共同研究、堤さんは独力で切り開いてこられたアメリカ報告、アメリカ研究ですが、どこかに接点を見出して、お互いにいい影響を及ぼし合えたらいいなと思っています。