政局

内閣改造で「安倍首相の次」の条件が見えてきた

前原・枝野では話にならないが

改造するほど総理の権力は下がる、というが

先週3日に行われた内閣改造と自民党人事。首相の狙いは何だったのか。人事によって経済や外交、内政でどのような影響が出てくるのだろうか。

ひとまず、各種世論調査では内閣支持率は上がっているようだ。先週の本コラム(「安倍政権は本当に危機的なのか、「あの法則」を使って検証してみた」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52435で、まだ安倍政権は危険域には達していないと書いたが、NHK調査はまだ出ていないものの、一段落というところだろう。

ちなみに平成以降の内閣改造では、自民党政権の時は、平均して内閣支持率は5%、自民党支持率を加えた青木率は7%上昇している。今回の内閣改造でも、その程度のご祝儀はある、ということだろう。ちなみに、ご祝儀といわれるのは自民党政権だけであり、民主党政権の時には内閣改造しても政権支持率が低下した。

なお、内閣の呼び方で「第二次」といったものがあるが、与党が総選挙に勝って首相が国会の指名選挙を経ると、「第二次」、「第三次」となる。安倍政権の場合、2006年9月からの1年間を「第一次」。2012年12月総選挙後の二年間を「第二次」、2014年12月総選挙以降を「第三次」と呼んでいる。

内閣改造は、第一次安倍政権では2007年8月、第二次では2014年9月、第三次では2015年10月、2016年8月、そして今回の改造である。今回の改造は、正確に言うならば第三次安倍第三次改造内閣、となる。こうしてみると、内閣改造は積極的にはやりたくないものの、1年くらいたつと党内人事としてやらざるを得なくなるようだ。

政界の格言に「内閣改造をするほど総理の権力は下がる」というのがある。改造は人事である。どのような組織でも、人事は、やる前には選ばれる可能性のある当人たちの期待値は高いのだが、やった後には希望が叶えられないものの方が多く、そういった人たちは落胆するものだ。

そうであるから、内閣改造はやればやるほど選ばれた者の恩義より、選ばれなかった者の恨み節のほうが大きくなる。だから、「改造すればするほど権力が下がる」のだろう。

 

筆者は、「一政権一内閣」が基本であるべきだと思っている。公約を国政選挙で国民に問い、信任を得るわけなのだから、基本的には同じメンバーでそれを実行するべきだ。そうした観点からみれば、今回の改造はそもそも骨格を変えない「部分修正」である。問題発言をした閣僚を中心に交代させるのが基本である。

ただし、「お友達内閣」と揶揄されたものを払拭しようとする努力はかなり感じられる。重要ポストとされる外務大臣に河野太郎氏、総務大臣に野田聖子氏と、必ずしも安倍首相に近くない人物をもってきた。

それとともに目立つのが、岸田派の厚遇である。第二次安倍内閣以来、留任したのは麻生太郎氏、菅義偉氏と岸田文雄氏だけだった。骨格を変えないという報道があったとき、岸田氏は留任と連想するのは当然のことだった。

しかし、岸田氏は念願の党務ポジションである政調会長に回った。今回の改造をみると、来年9月に自民党総裁任期を迎えるが、安倍首相が三選に乗り出したとみる。というのは、閣内の麻生氏と閣外の岸田氏が事実上の後継候補となり得るが、今回の人事でその目がかなりなくなったようにみえるからだ。

その理由は、麻生氏を閣内に留めて、岸田氏を厚遇しながら閣外に出すことによって、両者の微妙なバランスを確保、という人事であることから、安倍首相から禅譲を狙うのが自然な形となるからだ。

こうなると、安倍首相の自民党総裁三選の可能性ががぜん高くなる。せいぜい来年9月の自民党総裁選に出てくるのは、閣外の石破氏と閣内の野田氏だろう。両者ともに党内勢力がなく、これは安倍首相にとって好都合である。