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野球

どうしても書いておきたい、早実・清宮幸太郎の「あの瞬間」

高校野球打者ではじめての「怪物」

清宮は「誰以来」か

その瞬間は、十分に書きとめておくに値するものだった。7月28日、全国高校野球選手権西東京大会準決勝。早実-八王子学園八王子の一戦である。

早実2-1とリードで迎えた7回表、先頭打者として打席に入ったのは清宮幸太郎だ。

八王子の米原大地投手も、覚悟をきめて勝負に出た(ちなみに彼は腰痛から復帰して間もないそうだが、将来性のある投手に見える)。

初球は、外角へ落ちるボール。シンカーか。見逃してボール。

2球目。インローにくい込む、ボールになるストレート。ややサイド気味に懐を攻めて、清宮は腰を引いてよける。

さあ、舞台は整った。

 

3球目。米原投手は計算通り、外角低めにシンカーを沈める。コースも良く、なかなかの切れ味だ。

これをとらえた清宮の打球は左中間へライナーとなって飛んでいく。そして、そのままフェンスを越えて中段につきささった。

高校通算最多タイとされる107号本塁打の瞬間である。

打たれた後、米原は白い歯を見せて笑っていた。いや、笑うしかない、破格の当たりだった。

この夏の清宮は、春までとは少し違って見えた。子どもの野球の中に1人だけ大人が交じっているような、他を圧する存在感を身につけていたのである。

ここまでの感じというのは誰以来だろう、と考えてみる。

高校野球の打者としては、清原和博か松井秀喜か。近年では、筒香嘉智か。

ただ、この三人とは印象が少し異なる。彼らはみんな力強いスイングをしたが、清宮には、上体に幅があるにもかかわらず、柔らかさがある。