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まもなく偉大な記録を達成する中日・岩瀬の「一度だけ足が震えた日」

アルコールも口にしない男が

ただ、一度だけ

中日の岩瀬仁紀投手が米田哲也さん(阪急―阪神―近鉄)の持つ通算949試合の歴代最多登板にあと一つと迫っています。もっとも米田さんは通算626試合という先発登板記録も持っています。単純に数字だけを比較するわけにはいきません。

とはいえ、岩瀬投手の無事是名馬ぶりには頭が下がります。ルーキーの年にセットアッパーとして65試合に登板した岩瀬投手は、その後クローザーに昇格し、2014年まで15年連続で50試合以上に登板しました。通算403セーブ(8月3日現在)は史上最多です。

聞けば、岩瀬投手はアルコールを全く口にしないそうです。徹底した体調管理も長持ちの秘訣かもしれません。5度のリーグ優勝と1度の日本一を経験している岩瀬投手には百戦錬磨のクローザーという印象がありますが、そんな岩瀬投手でも「一度だけマウンド上で足が震えたことがある」そうです。

 

それは2007年の日本シリーズです。3勝1敗と日本一に王手をかけて迎えた第5戦、中日の先発・山井大介投手は一世一代の快投を演じていました。なにしろ8回まで、ひとりのランナーも許していなかったのです。

長い歴史を誇るプロ野球でも、日本シリーズでの完全試合は一度もありません。そればかりかノーヒッターも一度もないのです。名古屋ドームは異様な空気に包まれました。

付け加えれば中日は日本シリーズに弱く、日本一になったのは“魔球”フォークボールを操った杉下茂さんがMVPに輝いた1954年の1度だけ。53年ぶりの日本一を目の当たりにすることができるだけでも幸せなのに、完全試合での達成となれば、これはもうファンにとっては“人生の至福”以外の何物でもありません。

しかし、状況は予断を許しません。スコアは1対0、残り3つのアウトをどうとるか。中日・落合博満監督は決断します。山井投手に代え、岩瀬投手をマウンドに送ったのです。