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フェラーリ2000台を診た日本人が語り尽くす「赤の真髄」

だから人はこの車に魅せられる
平澤 雅信

百聞は一見にしかず。例を写真でご覧頂きたい。

1980年代デザインの象徴と言えるサイドフィン(テスタロッサ)

テールランプ周辺の複雑な造形(F430)

エンジンを「見せる」演出(F430)

有機的なエアインレット。切り取ると車の一部には見えない(488)

シフト操作スイッチ この造形を思い付き、本当に形にするのである。(La Ferrari)

この造形を作り上げるために、どれだけの技術と情熱を注ぎこんでいるのだろうか(同)

さらに、ボディーや内装だけでなく、細かな部品のひとつひとつまで隙がなくデザインされている。スイッチ類など、目に入りやすい小物はもちろん、普段は気が付かない箇所までこだわりは貫かれている。たとえば、サスペンションに使われている馬が刻印されたボルトなど。そんな美しい部品の集合体で車が出来上がっている。

最高時速300kmのために

スポーツカーでデザインの次に魅力になるのは、スピードである。ひとつの指標である300km/hを実現するには強力なエンジンが不可欠で、それが多気筒・高回転型ならば、速い上に独自性やステータス性も増す。

フェラーリがデザインの次に重視しているのは、言うまでもなくエンジンで、それも12気筒だ。12個のピストンが1秒間に150回も上下し、ガソリンのエネルギーを最近では700PS(馬力)以上のパワーに変え、最高速はゆうに300km/hを超える。これだけで男のロマンである。

 

12気筒エンジンはメーカー誕生の1940年代から存在し、資金不足、オイルショック、年々厳しくなる排ガス規制など、数多の苦難を乗り越えて、絶えることがなかった。デザインの本気度に負けず劣らず、エンジンもこだわり抜いている。

遅れて登場したV8(V型8気筒エンジン)は当初、512BB(Berlinetta Boxer)と308、テスタロッサと348などの関係のように、同時期の12気筒をスケールダウンした廉価版のイメージが強かったが、少ないパワーゆえ、どこでも全開にできる痛快さは、V8ならではの楽しみだった。