「ゆかし」社長が明かす
「富裕層をくすぐるサービス」

リアルリッチ、ニューリッチと会員制

  YUCASEE(ゆかし)は、純金融資産1億円以上を保有する富裕層のみが入会できるプライベートクラブ。不況にもかかわらず会員の総資産は1兆円に到達したという。何が受けているのか?

優良会員に絞った結果広告スポンサーの集客コストが低減

「ゆかし」を立ち上げた髙岡壮一郎氏は1974年生まれで、東京大学卒業後三井物産に入社。ITビジネス・投資業務に従事し、'05年にアブラハム・グループ・ホールディングスを設立した 〔PHOTO〕刑部 友康

 2006年の11月にスタートした「YUCASEE(以下、ゆかし)」はインターネット上のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が主な交流の場だ。会員は、30代、40代の会社経営者、医者、弁護士が多いという。

 会員総数は非公表だが、登録希望者は右肩上がりで増加中、同種のクラブの数少ない勝ち組だ。入会金、会費はいっさい無料。しかし、会員になるには、資産背景の説明と場合によっては書類証明が求められる。そこまでの個人情報を明かしてまで、富裕層が「ゆかし」への入会を希望する理由は何か。

「1億円以上の純金融資産を持つ富裕層は国内人口比で、わずか1.2%。そんな限られた人々だけが集い、有益な情報交換ができるプラットフォームがこれまでありませんでした。『ゆかし』の会員になれば、インターネットにアクセスするだけで24時間、自由に同じクラスの富裕層と気軽に交流ができるわけです。また、しっかりコストをかけて、富裕層限定のエクスクルーシブなサービスや商品、情報を無料で提供している点も喜ばれています」

 こう言うのは「ゆかし」を運営するアブラハム・グループ・ホールディングスの髙岡壮一郎社長である。

 三井物産勤務時代に海外の若手富裕層と接する中、「日本でも若手富裕層が増えている」と気づき、アブラハム社を起業。'05年8月から免許を有する子会社を通じて、富裕層向けの投資情報サービスをスタートした。

 同社が提供した投資情報が当たり、顧客が次々に富裕層になるにつれて、富裕層同士の交流の場が欲しいとの要望も出始めた。そこで、富裕層が集まれる情報プラットフォームとして立ち上げたのが「ゆかし」というわけだ。

「'08年2月に、自著を出版してから、いっきに会員数が増え始めました。会員からの紹介に加え、『ゆかし』のサイトから入会の申し込みをされる方も多いです。ただ、審査をかなり厳しく行っているため、希望者の60%近くは入会をお断りしているのが現状。会員に安心して交流していただくために、営業勧誘目的の加入などを阻止しているのです」

 同社のそんな厳しい審査を潜り抜けた富裕層は、多くの企業にとって喉から手が出るほどほしい良質な顧客である。実際、「ゆかし」はテレビ局と同様の広告ビジネスモデルである。最初は会員数非公表のため怪しまれ、「ゆかし」への広告出稿をためらう企業も多かったそうだが、試しに出稿をして反響があると、急に広告が集まり始めた。

 500万円以上の商品の見込み客を1人集めるための広告コストは20万円かかるのが相場だったが、「ゆかし」なら3万円程度で済んだからだ。今では三菱地所、三菱東京UFJ銀行、フェラーリ、メルセデス・ベンツジャパン、資生堂、ヤマハ、外資系証券会社など、国内外の錚々(そうそう)たる企業の広告が掲載されるようになった。現在、同社の法人向け売上構成比は、広告事業が50%、商品開発協力などのマーケティング事業が50%。3年連続で増収増益を達成している。

 また、サイト内の交流だけではなく、様々なかたちのオフ会も行われているようだ。

「下関にふぐを食べに行くなど、会員同士で企画したオフ会を楽しまれているようです。当社としても、顧客企業をスポンサーとする商品説明を含むオフ会を、毎月1、2回程度、会員向けに開催しています。なぜか最近、そこで出会い、ご結婚に至る会員が増えています」

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