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働きたいのに働けない!「最高益」でも電通社内は大混乱

「22時退社」効果で国内売上減…?

死に物狂いで働き、ハデに遊ぶ――そんな電通の空気が、大きく変わろうとしている。しかし、これまでのやり方を全否定されて、混乱が生まれないわけがない。現場で働く社員たちの思いに迫る。(「週刊現代」8月12日号より)

クライアントの反発

「現在も会社から言われて22時退社を徹底していますが、そのせいでクライアントから反発を食らって参っています。

夕方、担当者から『急遽、明日の朝イチでプレゼン資料が必要になりました。お願いできませんか』と電話がかかってきた時も、『22時退社なので……』と正直に断って平謝りしています。それでも粘られる場合は局長に相談しますが、当然『ダメだ』。『局長判断でできません』と伝えざるを得ない。

先方から不満を言われることも少なくない。いままでなら絶対に『喜んで』と即答していましたから、本当に大丈夫かと思うこともあります」

電通でCMなどの制作を担当する「CRプランニング局」在籍の30代の社員は、顔を曇らせてこう語った。

2015年12月、電通の新入社員の高橋まつりさん(当時24歳)が過重労働に追い込まれた末に自殺。電通は法人として略式起訴されるなどして徹底的に批判を浴びたことから、「働き方改革」に取り組んできた。

本社ビルを22時から5時まで消灯し、社員の22時退社を徹底する、新たに200人を中途採用するといった対策である。

7月27日には山本敏博社長が改めて会見を開き、正社員や契約社員の採用を増やしたり、300の業務について自動化を進めるなどして、社員一人あたりの労働時間を2014年比で2割減らすとした。

 

そんな中、電通はまさかの「最高益」を実現しそうだ。2017年12月期の収益は前期比で16.7%増の9785億円、営業利益は10%増の1515億円と見込まれる。

あたかも「働き方改革」が功を奏し、業績も上がったというバラ色のシナリオが実現したかのようだが――現実はそれほど甘くない。

「業績が向上しているのは、海外がいいから。電通は、2013年にイギリスの広告大手イージスを買収して以来、海外でのM&Aを本格化してきましたがその効果が出てきているのです。

一方、国内の業績は振るわない。2017年12月期の国内の個別業績予想は、営業利益が前年比8.2%減の594億円、当期純利益は31.4%減の631億円。7月7日に発表された6月の単体売上高は、前年同月比で13.1%減っています。

また、厚労省、経産省、東京都といった官公庁が入札を一時的に停止する措置をとりました。今後、別の官公庁でもこうした対応が行われる可能性がある」(全国紙経済部記者)

むしろ、冒頭の社員が語る通り、降って湧いた働き方改革は混乱を生み、それが業績に悪影響を与えている可能性もある。