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退職前のサラリーマンを襲う「役職定年」実はこんなに怖い

いまから準備しておいたほうがいい
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誰も言うことを聞かない

今後、役職定年はさらなる問題になると、木村氏は指摘する。

「今年、バブル世代が48~52歳になり、まさに管理職世代になっています。そして、その下には人口の多い団塊ジュニア世代(43~46歳)が控えている。団塊ジュニアが上がってくると、かつてのようにポスト不足になることが予想されます。

以前は役職定年の前後で、関連会社に出向、あるいは転籍するケースが多かった。ところが、現在は関連会社にも余裕がなくなっています。本社から『天下り』のような人材を受け入れることを敬遠しがちです。

そうなると、役職定年を迎えてモチベーションが低くなっているシニア社員が社内で目につくようになり、若手社員に不満が溜まりやすくなる。今後、バブル世代が役職定年を迎えると、その傾向はさらに加速するでしょう」

 

ある電子機器メーカーの元販売部長(60歳)はこう嘆く。

「入社以来、営業一筋で、52歳で販売部長に出世しました。自分で言うのもなんですが、同期では出世頭と自負していました。取締役は間違いないと思っていましたし、周囲もそう見ていたはずです。

その歯車が狂い出したのが、3年前。以前からかわいがってくれていた役員が派閥争いに敗れてからです。

私自身、仕事上のミスをしたわけではないし、求められる目標もクリアしてきた。しかし、現主流派としては、私も目障りな存在だったのでしょう。57歳で部長以上に上がれなければ、役職を解く『役職定年』の制度を建て前に、上層部から排除されました」

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元販売部長は、お客様相談センターの次長に異動になった。しかし―

「次長といっても、部下がいるわけでもないし、コールセンターのオペレーターがお客様とトラブルになったときにアドバイスをする程度で、これといった仕事もない。

日がな一日、新聞や雑誌を眺めて過ごしているだけです。困るのは昔の癖が抜けないこと。気になる記事があったら、つい『誰かこれのコピーを取ってくれないか』と言ってしまう。

部長だった時なら、すぐに誰かが飛んできてくれたのですが、今は誰も立ち上がりません。『このジジイ、役職定年で飛ばされたくせに、何様のつもりだ』などと思われているのでしょう」