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過酷な夏の部活動が、わが子の人生を大きく狂わせるかもしれない

暴力指導がなくても、油断は禁物
夏休みまっただ中の今、小学生から高校生まで、炎天下で部活動・クラブ活動に励んでいる子供たちも多いことだろう。だが、中には「ブラック」な指導で取り返しのつかないダメージを負ってしまうケースさえある。『部活があぶない』の著者の島沢優子氏が、ハイリスクなその実態を明かす。

「墓参りと試合、どっちが大事なんだよ?」

学校の夏休み。子どもはのんびりできていいなと大人は思うかもしれないが、スポーツをしている小学生はかなり忙しい。

関西地方で息子をサッカークラブに通わせる女性はため息まじりでこう話した。

「関東への遠征や、大会がひっきりなしにあるので本当に忙しいです。結構強いクラブなので仕方ないかなとは思いますが……」

人が動けばお金もかかる。大阪から東京あたりまで夏休みに遠征するとあって、息子のサッカーだけでひと夏で20万円以上かかるという。

お盆くらいは休めますよね? という質問に、女性は首を振った。

「お盆休みは近隣だと逆に車が混まないので、バンバン遠征が入ります。お休みはないんです」

 

昨夏に都内で少年野球の大会を取材したときのこと。木陰に移動もせず炎天下で子どもを前にミーティングをしていた指導者は、ひとりの小学生を立たせて何事か話していた。

「どうして墓参り行くの?試合が優先でしょ?」

あれれ?なんだか見たことのある光景。実は少年サッカーでも、数年前に同じ状況に出くわしたのだ。

「なんで試合に来れないの?墓参り?おまえ、墓参りと試合、どっちが大事なんだよ?」

少年は泣きそうになりながら「試合……」とつぶやいた。

「試合が最優先」という少年スポーツの指導者の教えは、中学生以降はそのまま「部活が最優先」という価値観を植え付ける。

先月刊行した『部活があぶない』の執筆では、少年スポーツも取材してきた。部活動と言えば中高校生が所属するものだが、長時間で決まった休日もなく活動させられるブラック部活の背後に、少年スポーツの存在があると感じたからだ。

「スポーツ=理不尽」と刷り込まれる

日本サッカー協会が設けた指導者らの暴力や差別を対象にした「暴力根絶相談窓口」に13年6月からの3年半の間に寄せられた相談300件あまりのうちのおよそ半分が、小学生が被害対象だった。

これはサッカーだけの特殊事項ではない。日本体育協会が設置した同様の窓口でも、小学生が6割。他競技も含め、小学生の部活と言われるスポーツ少年団などが暴力と決して無縁ではないことがわかる。

親や子にとってスポーツ少年団の指導者は、はじめて出会う指導者だ。その影響は計り知れない。もちろん、日本のスポーツの底辺を支える少年スポーツの指導者は、貴重な存在だ。他に仕事を持つボランティアのコーチが休日を費やして指導している割合が圧倒的に多い。だが、無報酬で担うだけに、甘えやおごりも生じる。

少年サッカー、少年野球やミニバスケットボールなど、小学生の時から活動過多の状態と理不尽な指導法を「スポーツはこんなものだ」と思い込まされる。特に活動過多に対するこうした鈍感さは、最も大きな問題を引き起こす。

それは、人生を左右しかねないケガの問題だ。