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20年後、人間が「マクドの肉焼き係」を奪い合う日がやって来る

9割の仕事が消滅しても生き残る仕事

30年後までに知的労働を含めた50%から90%の仕事がなくなるという試算を多くの研究機関が発表している。そんな中どんな仕事が生き残るのか、またなぜ多くの人々は危機感を持てないのか。『仕事消滅~AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』を上梓した、経営戦略コンサルタントの鈴木貴博氏が徹底解説。

AI狼少年?

AIが高度な進化を遂げようとしているのに、なぜ世の中は平然としているのか?ひょっとしてAIが人類の仕事を奪うと言っている人間は「狼が来るぞう」と叫んでいるただの狼少年なんじゃないのか? そう考える人は実は多い。

実はこの現象は、これまでに何度も起きてきた「よくある現象」だ。私の経験も含め解説しよう。

 

私の本業は大企業トップを相手にするイノベーション専門の経営コンサルタントだ。過去30年にわたってさまざまな業界に起きるイノベーションに対してどう立ち向かうべきかをコンサルティングしてきた。

その経験から振り返ると、業界構造を壊す「破壊的イノベーション」に直面した業界の大多数の方々の捉え方は毎回、恐ろしいほど同じだ。

狼が来るという話をするときまって返ってくるのは、

「知ってるよ」「あんなのおもちゃだよ」

このふたつだ。特に業界を代表する企業の役員から部長クラスの中堅幹部の方々は皆ほぼこの反応になる。

「Siriなんておもちゃだよな」

AIに関して言えば、一番身近で誰もが知っているものはiPhoneに搭載されている音声ガイドのSiriである。このSiriを使った方は必ず、「Siriなんておもちゃだよな」
と言う。それ自体は間違ってはいない。

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しかしちゃちな性能のイノベーション商品が巨大市場を破壊するまでにかかる時間の短さをご存知であれば、そんな他人事のような評価はできなくなるはずだ。

最初にイノベーションの種が発明されて、市場にプロトタイプの商品が出ると「これで市場が破壊されるぞ」と騒ぐ人が出てくる。その一方で、同じ商品を見て大半の業界の人は「おもちゃだね」と小馬鹿にする。よくできているけれど、本物の商品にはほど遠いと感じるからだ。

その段階から破壊的イノベーションの脅威が現実になるまでの時間はほぼ共通して20年程度、そして古い業界最大手が消えていくのが30年後であることがわかっている。