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不正・事件・犯罪 現代新書

「警視庁 生きものがかり」は実在した!で、一体何をしているの…?

ちなみに本当の名前は〇〇係です

フジテレビ系でオンエアー中の、渡部篤郎と橋本環奈の凸凹コンビが動物にまつわる事件に挑む刑事ドラマ『警視庁いきもの係』が話題を呼んでいる。このドラマの設定はもちろんフィクション。原作は小説家・大倉崇裕さんの「警視庁いきもの係」シリーズだが、実は、警視庁には「生きものがかり」が実在するのをご存じだろうか?

警視庁で「希少動物専門の警察官」といえばこの人あり、と言われる第一人者が、生活安全部生活環境課の福原秀一郎さんだ。その活躍を描いたノンフィクション『警視庁 生きものがかり』が、刊行早々話題となっている。福原さんのインタビューをどこよりも早くお送りしよう。

ドラマに出てくる女警に来てほしい

——フジテレビでオンエアー中のドラマ「警視庁いきもの係」はご覧になりましたか?

福原 はい、もちろん。主人公の女警さん(じょけい=女性警察官のこと。ここでは橋本環奈さん演じる薄圭子を指している)がいいですね。ヘビもまったく怖がりませんし、動物の専門知識を捜査に活かして、たいしたもんです。ああいう能力のある人材がいたら、ぜひ、うちの課に来てほしい!

冗談でもリップサービスでもありません。主人公の彼女は、動物に対して「前のめり」過ぎて、ちょっと仕事にならないところもあるようですが、そういうところは他の人間がフォローすればいい。ああいう知識や経験がある人材は、余人をもって代えがたいです。「誰でも取れる50点を取れなくても、誰も取れない30点を取れる人」が私たちの課には必要なのです。

——ベタ褒めですね! ドラマも本気で見ていますね。

福原 ええ、つい(笑)。小鳥がテーマの回があったんですが、そのときに「竹製の和鳥かご」が画面に映りました。ああいうかごを見たら、私は事件性を疑うんです。なぜなら、(特殊鳥類である)「和鳥」の密売の疑いがあるからです。ドラマのストーリーとは違うんですが、実際にあった事件が頭に浮かんでくるんですね。

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和鳥の事件で思い出したのが、メジロの密猟者たちです。彼らは取り調べ中、口を揃えて、自分の行為を正当化したいがために、こう言うのです。

「あんたたちは知らないだろうけど、メジロたちはオレたちに捕まった方が幸せなんだぜ。自然界にいるより、竹のかごに入っていた方が長生きするんだから……」

実際、メジロは、かごで飼われた方が長生きする。これは間違いないようです。

経験の浅い捜査官は、ここで自問してしまいます。「俺は、ひょっとしてメジロに悪いことをしてるのか?」と。そして、先輩捜査官から、彼らがただ自分たちの行為を正当化したいだけだということや、野生の鳥たちは、自然の摂理に従わせることがむしろ我々の責務なのだと教わるのです。

 

逮捕から1週間ほど経った頃、私たちは密猟者にこう聞きます。「どうだい、メジロと同じで檻の中は幸せだろ。いつまで入っていてもいいんだよ」。

すると密猟者は、「いじめないでくださいよ。メジロの気持ちがよくわかりました。勘弁してください!」と音を上げる。こんな取り調べの経験が、本当に何度もあるんですよ(笑)。