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男性の社内政治により「コイツには何言ってもいい系女子」は作られる

一般職女子は丁寧に扱い総合職女子は潰す

なぜ総合職女子がいじられるのか

金融機関、一部メーカー、商社などザ・日本の大企業において、「総合職女性」とは、二重の意味で少数派だ。

雇用機会均等法施行後の状況を均等法世代の女性に聞くと、申し訳程度に採用されたものの総合職とは名ばかりでお茶出し、コピー取りからスタートしたというエピソードには事欠かない。

その後も、女性の四大進学率が上昇し、かつ就職氷河期が終わり、総合職採用のうち3割など、まとまった数で女性総合職が採用されるまでには2005年ごろまで待たねばならない。このころ入社した世代が出産を迎え育休を取る前後に様々なジレンマに直面する様子を描いたのが拙著『「育休世代」のジレンマ』だ。

 

しかし、出産するしない以前に、近年急増しているこの「総合職女性」はまだまだ職場にとって異質な存在であるようだ。「コイツには何言ってもいい系女子」のヒアリングを進めていくうちに、一般職が残る職場で、執拗に総合職女性が男性からいじられる事例を聞くようになった。

もちろん、前回記事のアキラさんのように総合職女性同士で比べられる事例もある。一般職女性がハラスメントの対象になることもあるだろう。しかし、名前や役割を変えながらも「一般職」的な採用を続けている企業の中では、総合職女性は、総合職における少数派、そして女性における少数派になることが多い。

その狭間に位置しながら、彼女たちは一般職と総合職男性の間の中途半端な存在、あるいは、両方の機能を求められる存在になっている。

言われ放題の総合職女子

大手銀行に勤めるナギサさん(仮名)は総合職で入行。営業店では日常的に隣の一般職女性と容姿を比較され「××さんは髪巻いて綺麗にしてるのに」「目が小さすぎて見えない」「歯が出てる」「メイクが薄い」などと言われていたという。「さすがに後輩男性は言ってこないですが、同期から先輩まで結託して言ってくるんですよね」。

総合職女性から度々悲鳴があがるのは、容姿についての比較だ。長時間働き、朝もメイクをする余裕もなく出社していたとしても、定時で帰ることができる一般職女性と外見を比べられる。

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ナギサさんが本部配属になったときには同じ部署に総合職女性の先輩がいたが、「彼女の場合はいじりやすいキャラで、社内だけではなく社外の初対面の人にも『不細工』『お前と飲んでてもおもしろくないから、もっと綺麗なの連れてこい』とか言われたりしていて…。その場ではへらへら笑ってるけど、あとで泣くんですよ」。

こうしたいじりは、一般職女性と総合職女性を区別し、総合職の女性を名誉男性として受け入れる仲間意識の裏返しなのではないか。そのように聞くと、ナギサさんは件の先輩女性の受けていた処遇について苦々しく語った。

「んー、でもそれで仲間に入れてくれるかというとそうでもなくいんですよ。確かにいざとなったときに仕事で助けてくれる人もいます。でも彼女にネタになりそうにないというか、おいしくない仕事を投げて、うまくいかないと『俺がやってたらもっとうまくいってた』とか言う人もいて。

だからほとんどは『愛あるいじり』と言う風にも見えない…。本人だって一見いじられて喜んで見えるようにも見えるかもしれないですけど、私は泣いてる姿を週に何度も見ています。私の前でしか出せなかったと思う」