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日本はいまこそ、村上世彰氏の「正論」に耳を傾けるべき

『生涯投資家』を読んで感じたこと

なぜ今、「村上ファンド」なのか

一時、村上ファンドを率いて世間を賑わした村上世彰氏は、ニッポン放送の株式を巡るインサイダー問題で逮捕・有罪となって以来、世間の第一線に出ることがなかったが、このたび『生涯投資家』という書籍を著した。

村上ファンド時代に話題になった事案の回想、彼があるべきだと考えるコーポレート・ガバナンスと企業経営のあり方、日本への提言、そして、彼の近況などがよどみなく綴られている。そして、この本は大変よく売れているようだ。

本書の中で、ご本人も何度か言及しているように、世間を広く見渡すと村上さんに対するイメージは概ね良くない。

村上世彰氏 〔PHOTO〕gettyimages

日本ではお金儲けの正当性を堂々主張すると嫌われる(お金には嫉妬が絡むので、これに鈍感にお金儲けを礼賛することが嫌われるのだと思われる)。

また、彼は、敵対的TOBやプロキシ・ファイトなど合法ではあっても当時は珍しかった攻撃的で強引に映る手法で注目を集め、株主・投資家の権利を半ば世間に説教し、逮捕を境に表舞台から消えた。世間的なイメージの悪さはやむを得まい。

しかし、他方で、特に投資の世界には村上ファンが少なくない。彼は、投資して儲けることの正当性を声高に代弁してくれたし、株式投資家なら、上場企業の経営のあるべき姿に対する村上さんの主張に共感できるからだ。

 

今は、特段、読者が「村上ファンドの時代」の舞台裏を知りたくなるような時期ではないと思われる一方で、この本が良く売れていることの背景には、こうした隠れ村上ファンの存在があるのだろう。

加えて、2015年にコーポレート・ガバナンス・コードが策定・公表されるなど、世間の動きが彼の主張に近づいて来たということもある。

なお、詳しくは書かないが、この本の執筆動機には、著者の娘さんや父上など、家族に対する思いがあるようだ。「家族思いの人に、悪い人はいない」と思って、村上さんの声に耳を傾けてみようではないか。