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政局 週刊現代

いま安倍首相を怯えさせる、二階俊博幹事長の「ものすごい睨み」

新内閣の人事にも影響か

支持率が危険水域に入った。8月3日、党・内閣改造を成功させられなければ、安倍晋三の政治生命は終わる。安倍は「おっさん」の沈黙の意味を深読みし、悶え苦しみ、人事を決める。

安倍はまだ迷っている

東京・富ヶ谷の安倍晋三邸。安倍は携帯を握りしめ、ひっきりなしに電話をかけ続けていた。副総理の麻生太郎、総理秘書官の今井尚哉、内閣情報官の北村滋、NHK政治部の岩田明子……。

麻生はドスの利いた声で「とにかく裏切らない奴にしてくださいよ」と念を押して言ってきた。

脳裏にある組閣リストは、めまぐるしく変わり続ける。新しい人物が挙がれば、今井と北村に連絡して名前を伝えるし、その間にも2人から「身体検査」の結果が携帯に入ってくる。

だが、あの男からは電話がかかってこない。

7月15日からの3連休、安倍は自宅に籠もった。8月3日に行う内閣改造のためだ。

麻生と菅義偉の続投は決めた。あるピースの埋め込みを迷っているだけなのだ。それが決まれば、ほかは自動的に決まるのだが――。ため息をついていたその時、リビングのテレビで、NHKが福岡にいる男を映し出した。

安倍は呻いた。

「おっさん、またメッセージを送ってきたな」

二階俊博・78歳。いま、安倍の生殺与奪の権を握っているのはこの男だ。

7月3日、都議選敗北の翌日、二階は不機嫌そのものだった。

安倍・麻生・菅に、前経済再生相の甘利明を加えた4人が、東京・四谷のフランス料理店で会合したと知ったからだ。

「都議選でどぶ板をやらせた俺を外して、投開票日当日に改造人事も話し合っただと? 安倍は何を考えているんだ」

周囲にそう漏らしたものの、二階は意外に冷静だった。最近、怒ると正気に戻るのだ。

〈安倍がもし甘利を幹事長につけるようなことをしたら、刺し違えるしかない。だが、安倍にはそれはできないだろうな〉

急遽、翌日、二階派議員を全員招集した。他の派閥はこんなことをしていない。異例のことだ。

二階は檄を飛ばした。

「安倍総理を支えたい。なんとかして内閣の支持率を上げていく」

派閥を結束させ、一切の批判は封じ込める宣言だ。安倍批判をしていた二階派長老・伊吹文明すら、会合後は自重するようになった。

会を午前中に終えると、二階はその足で官邸に向かった。二階は、ゆっくりと言葉を区切り、16歳年下の安倍に向かって敬語で話しかけた。

「派閥を固めてきました。引き続き、これから党内も引き締め、まとめていきます」

 

安倍は、見下ろされているような錯覚を覚えながら、こう思った。

〈党内か。おっさん、幹事長をやりたいということだろうな。言うことを聞く甘利にしたいんだけどな。困ったものだ〉

50分にわたる会談で、二階は安倍の3選支持を約束した。それと引き替えに確約させようとしたのが、「幹事長留任」だ。

安倍は明確な返答を避けたし、二階もそれ以上は踏み込まなかった。