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加計学園の急成長を支えた「特異なビジネス」と「政界人脈」

シリーズ【加計学園とは何者か】最終章

加計学園をめぐる「疑惑」は、衆参両院の閉会中審議を経ても決着をみることはなかった。学園の成り立ちを追った第一部第二部に続き、第三部では「教育実業家」を自認した加計勉氏、そしてその跡を継いだ孝太郎氏らの「ビジネス」を読み解く。

5人の親族たち

戦後まもなく定められた私立学校法には、次のような規定がある。

〈役員のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族が一人を超えて含まれることになってはならない〉

つまり、ひとつの学校法人につき、理事以上の役職に就ける親族は最大2人まで、ということである。「同族経営化」を未然に防ぐための決まりだ。もっとも、帝京大学グループ(冲永家)や近畿大学グループ(世耕家)など、創業家の親族が代々要職を占める大手私学法人は少なからず存在する。

現在の加計学園とそのグループ学校法人・社会福祉法人の役員には、加計孝太郎理事長、その息子である役(まもる)氏と悟氏、孝太郎氏の姉である美也子氏、その息子である勇樹(勇輝)氏と、少なくとも5人の「三親等以内の親族」の名前がある。彼らは各人がそれぞれ別々の学校法人の理事長や役員を務めているため、そこに法的な問題はない。

 

とはいえ、創立者の加計勉氏が一代で築き上げた加計学園グループは、各法人がまるで「相続」されるかのようにして、今日まで歩んできた。例えば現在、加計学園が運営する倉敷芸術科学大学で副学長の要職を務める悟氏は、すでに報じられているように、同大学で獣医学系学科の講師を兼任している。

7月24・25日に行われた国会の閉会中審査では、「加計学園が今治市に獣医学部を新設することを、安倍総理がいつ知ったのか」さらに言えば「安倍総理が加計学園に何らかの便宜を図ったのか否か」という点のみがクローズアップされた。

だが一方で、こうした「同族経営」の私学に、国・自治体が多額の補助金を注ぎ込むことの是非は別に問われなければならないだろう。

「頼まれるから、後に引けない」

さて、加計勉氏から、長男・加計孝太郎氏への代替わりが見えてきた1990年代、加計学園はさらなる拡大路線を歩み始めた。平成になってグループが新設した学校・関連施設新設を列挙してみよう。

加計学園本体が運営する学校に(加計)、姉妹法人の高梁学園(2010年に順正学園に改称)が運営する学校・施設に(高梁)、関連法人の英数学館が運営する学校に(英数)、その他には(その他)と付記した。

学園創立者で孝太郎氏の父・加計勉氏は理事長を務めていた1996年、日本経済新聞によるインタビューで、記者の「なぜ、こんなに(学校新設に)積極的なのか」という率直な質問に答えている。

周知の通り、このころ日本の景気は下り坂にさしかかっていた。にもかかわらず、加計学園グループがわずか5年の間に吉備国際大学、倉敷芸術科学大学という2つの大学を新設したことを、世間は驚きとともに受け止めていたのだ。

〈無理をして拡大しているわけではない。県や市から要請があり、地元がなん十億円という資金を投じて用地買収、整備などの準備もしてくれるから後に引けなくなる。私も頼まれると『ひと肌脱がなくては』というタイプではある〉