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金正恩政権の未来は米中露「新ヤルタ会談」で決まる

早ければ9月下旬にも開催か

「大国の暴走」が止まらない

日本はまるで、国民全体がヒステリー状態に陥ったかのように、「加計問題」と「日報問題」に揺れている。だが、2017年夏の世界は、「井の中の蛙」の日本とはまったく別のところで、大転換を迎えようとしている。「大国の暴走」が止まらなくなってきたからだ。

そんな中、本日、新著『大国の暴走』(講談社)を上梓した。私にとって、アジア関連著書24冊目にして初の対談(鼎談)本である。テレビのトランプ政権分析でおなじみの渡部恒雄氏(笹川平和財団特任研究員)、同じく日本でプーチン政権研究の第一人者である小泉悠氏(未来工学研究所特別研究員)と、3人で徹底的に世界の現状と近未来について語り明かしたものだ。

今回の新著について、私が構想したのは「新ヤルタ会談」だった。

第2次世界大戦末期の1945年2月4日から11日、ソ連クリミア自治共和国のヤルタに、ルーズベルト(米国大統領)、チャーチル(英国首相)、スターリン(ソ連書記長)の「3巨頭」が参集し、戦後の世界秩序の基本枠組みを取り決めた。それからちょうど半年後に戦争は終結した。

1945年以降の戦後世界は、米ソの冷戦時代になり、1975年に西側諸国がG7(先進国サミット)を立ち上げ、1991年にソ連が崩壊したことでアメリカ一強体制となった。21世紀に入ると、2008年のリーマン・ショックを契機に、先進国の相対的パワーが衰え、G20(主要国・地域サミット)を発足させた。翌年にはBRICS(新興5ヵ国)が誕生した。

 

ところが、今年1月20日にアメリカでトランプ政権が始動したことによって、世界は再び未知なる航海へと向かおうとしている。そのカギを握るのが、トランプ大統領、習近平主席、プーチン大統領の「3巨頭」なのである。

この「3巨頭」は、昨年末に米誌『フォーブス』が発表した「世界で最も影響力のある人物」ランキングで、それぞれ2位、4位、1位となっている(安倍晋三首相は37位)。今年以降数年は、おそらくトップ3を独占しつづけることだろう。

そこで、トランプ政権発足からちょうど半年を経たいま、この「3巨頭」が一堂に会したなら、どんな話になるだろうかという設定で鼎談したのが、この本である。

もとより、われわれ3人がそれぞれ、日々米中露を研究しているからといって、「3巨頭」に成りきれるわけではない。そこで、トランプ、習近平、プーチンという「3巨頭」がいま何を考え、世界をどう導こうとしているかについて、3ヵ国の立場から徹底討論したのである。

北朝鮮空爆のメリット・デメリット

話は、喫緊の課題である北朝鮮の核・ミサイル開発問題から、シリア問題、BrexitとEU、台湾問題まで、多岐にわたった。もちろん、アジアの諸問題には日本の国益も直結してくる。

実際、私はこの「3巨頭」が近未来に「新ヤルタ会談」を行う可能性が高いのではないかと見ている。アジアに関して言えば、短期的には北朝鮮問題について、中長期的には台湾問題についてである。特に北朝鮮問題に関しては、早ければ9月下旬の国連総会の時期に開くのではないか。

先日、7月7日、8日に開かれたハンブルクG20の席で、トランプ大統領とプーチン大統領の米露首脳会談が、2回にわたって行われた。一度目は、先週のこのコラムで記したように、7日午後のG20首脳会談の最中に、米露両首脳が抜け駆けしたのだ。当初、30分の予定だった米露首脳会談は、結局2時間16分の長きにわたった。

だが米露両首脳は、翌8日のG20首脳ランチミーティングの時にも、再び抜け駆けして、ロシア側の通訳だけを入れて2度目の首脳会談を開いていたことが発覚した。最初にこの事実を報じたのは、米コンサルティング会社ユーラシア・グループのイアン・ブレマー代表である。その後の米各メディアの後追い報道によれば、2度目の会談は約1時間に及んだという。