不正・事件・犯罪

丸山ゴンザレスが世界の危険地帯を歩き回るワケ

きっかけは東日本大震災だった

「現代ビジネス」でもおなじみのジャーナリスト・丸山ゴンザレスの新著がついに発売された。TBS系『クレイジー・ジャーニー』で訪れた地や、「現代ビジネス」「FRIDAY」に掲載された、世界の危険地帯についてのレポートをまとめ、大幅加筆をしたものだ。丸山ゴンザレスが、刊行に至るまでの心境の変化についてを赤裸々に明かす――。

東日本大震災で心境に変化が

ジャーナリストとして世界中を飛び回って取材活動をする以前は、ノンフィクションライターを名乗って雑誌を中心に活動し、何冊かの本も出版してきた。そんな生活を続けて、かれこれ15年ほどになるが、このたび、新たに『世界の混沌〈カオス〉を歩く ダークツーリスト』を刊行するに至った。

『ダークツーリスト』は、私が世界各国を飛び回って取材した知られざる「裏社会」「ダークサイド」についてのレポートを一冊にまとめたものだ。

世界の危険地帯に、単身で乗り込んできました(amazonはこちらから)

フィリピンでは銃の密造工房の潜入取材を行い、ニューヨークでは摩天楼の地下で暮らす住人たちに接触、メキシコでは麻薬戦争の最前線を訪れ…と文字通り世界の「危険地帯」を廻ってきた。「現代ビジネス」の連載や、TBSテレビ「クレイジー・ジャーニー」をご覧の方ならピンとくる項もあるだろう。

フィリピンのスラム街も取材

私が世界の「ダークサイド」を訪れ取材し、それを一冊の本にしようと思ったのは、世界情勢の激変に加えて、私自身の取材者としての心境の変化が大きく関係している。

 

ご承知のとおり、2010年以降、世界を揺るがす出来事が特に増えている。

アラブの春(2010~2012)、シリア内戦(2011~)、ISの国家樹立の宣言と実効支配地の拡大(2014~)、各地でISの影響を受けたテロの増加、クリミア危機(2014)、ウクライナ内戦(2014~)、欧州の難民問題(2015~)、フィリピンのドゥテルテ大統領の就任(2016)、米国トランプ大統領の就任(2017)、イギリスのEU離脱を決めた国民投票(2016)などなど……枚挙に暇がない。

世界各地で発生しているニュースのすべてを追いかけることは、ネットを駆使したとしても難しくなってきている。ジャーナリストを名乗る以上は、情報を受け取る側ではなく、発信する側に立たなければならないが、混迷を極める世界情勢のなかでいったいどこに取材に行けばいいのだろうか。

悩みが生まれてくるところだが、私は2011年に起きた東日本大震災で学んだことがある。

「ライトタイム・ライトプレイス(Right Time, Right Place)」

意味するところをざっくりと言えば、「タイミングよく現場にいる(行く)こと」である。

私の故郷は宮城なのだが、東日本大震災の発災直後、いてもたってもいられず東京から実家のある仙台市に向かった。幸いにして両親は無事だったが、親戚には亡くなった人もいた。別に珍しいことではない。あの地方に繋がりを持つ人ならば、多くが経験したことだ。むしろ両親や家屋が無事だっただけ恵まれていると思うし、両親もそう言っていた。

実家の無事を知った私はそのまま宮城に残った。拠点にしている東京に戻れば仕事も家もある。友達だって東京のほうが多い。それでも、できるだけ取材しておくべきだと思ったのだ。実は、私はあの時からライターではなく、「ジャーナリスト」を名乗るようになった。