野球

「甲子園を目指さない」ことが、結局最強のチームをつくる近道だった

プロになる選手は、こうして生まれる

夏の風物詩である甲子園、第99回全国高等学校野球選手権が開幕します。100回の記念大会を前に、甲子園の原点から、その役割。さらにより良い大会にするための改革案を長谷川滋利さんに提案してもらいました。

僕なら「甲子園を目指さないチーム」をつくる

今年も甲子園が開幕します。僕も楽しみで色々と情報収集をしています。清宮幸太郎選手(早稲田実業)は残念ながら地区予選(西東京)で敗退してしまいましたが、増田珠選手(神奈川/横浜)、西浦颯大選手(高知/明徳義塾)、植田拓選手(岩手/盛岡大付属)など、スラッガーが豊作の予感がしますね。新たなスターが盛り上げてくれると確信しています。

1915(大正4)年に豊中グラウンド(大阪府豊中市/現在は高校野球メモリアルパーク)で始まった甲子園(当時は全国中等学校優勝野球)大会ですが、今年で99回目を迎えます。

僕も夏は67回と68回大会に出場しましたが、当時とは甲子園の役割も少しずつ変わってきたな、というのが率直な印象です。

「各校がそれぞれの教育理念に立って行う教育活動の一環として展開されることを基礎として、他校との試合や大会への参加等の交流を通じて、一層普遍的な教育的意味をもつものとなる」

日本学生野球憲章にはこのように明記されていますが、野球を通した教育の場であり、社会性を養う大会ということですね。研鑽しライバルたちとお互いを高め合う。とても崇高な理念だと思います。また、あの大舞台で国中の注目と応援を受けてプレーできるのは、彼らの人生においてかけがえのない財産となってくれるでしょう。

 

しかし、それをベースとしながらも、近年はどうしても「ショーケース」「プロへの階段」という比率が高まっています。これはその上のプロ野球というカテゴリーを目指す球児、勝つためにいい選手を欲しい球団の思惑が一致しているので、仕方のない部分はあります。僕も甲子園で投げていた時、プロを意識してなかったといえば嘘になります。

それでも、「選手の教育、育成と将来」と「甲子園出場あるいは勝利」は決して天秤にかけられてはいけないものです。何よりも前者が重く、後者は前者のおまけ程度についてくるもの、という認識くらいでちょうどいいと僕は思っています。

酷暑の連戦、エースの100球を超える熱投が彼らの将来のためになるかどうか。やはり大人が真剣に考えていくべき課題なのではないでしょうか。

そんなことを思っていると、先日、ある講演で質問を受けました。

「もし長谷川さんが高校野球の監督に就任したら、どういうトレーニングをしてどんなチームを作りたいですか?」

これは意外というか、真剣に考えたことがなかったので面白かったですね。僕が出した結論は「甲子園を目指さないチーム」でした。