介護 認知症

まるで押し売り…裁判所が決めた「監督人」に高額請求される家族急増

成年後見人制度の知られざる闇
長谷川 学 プロフィール

「信託に入るか、監督人か」と迫る家裁

昨年、家裁の職権で監督人を強制的につけられた関東在住の男性(50代)の体験を見てみよう。

男性の両親は2人とも認知症で、男性が父親、弟が母親の後見人になっている。新聞に投書した女性と同様、従来は家裁から「後見人として適切に対応している」という、お墨付きをもらってきた。

「ところが突然、家裁に呼ばれて『後見信託に入れ』と言われました。『私たち兄弟の後見活動に問題があるのですか』と聞くと『よくやっている』という。『それならこれまで通りでいいじゃないですか』と言っても、聞く耳を持たないんです。

『(後見信託に)入らないなら強制的に監督人をつけるが、それでいいんですか。監督人がつくと、両親が死ぬまで、監督人に報酬を支払わねばならない。後見信託の方がコストが安く済むから入った方がいいですよ』という。はっきり言って脅しですよ。(後見信託も監督人も)両方とも断ったが、強制的に監督人の弁護士をつけられた」

 

監督人の弁護士が、男性と弟に会ったのは一度切り。それも数分で用事は終わった。それ以外で、1年間に監督人がやったことと言えば、男性と弟が作成した財産目録に目を通し、通帳を見ただけ。実働時間は1時間程度と見られる。

それにもかかわらず家裁は、両親の預貯金から毎月6万円(1人あたり3万円)、年間72万円の報酬を弁護士が請求することを認めている。

こんなことが、両親が亡くなるまで毎年続けられるというのだから、とんでもない仕組みと言うほかない。この兄弟は、報酬支払いには合理的理由がないとして支払いを拒否するつもりだ。

なぜ、このようなトラブルが全国で多発することになったのか。その背景には、最高裁を頂点とする司法と、弁護士・司法書士などの業界が推し進め、国民が知らないうちに「当然」とされるようになった、成年後見人制度の不可解な運用の実態がある。次回以降、その闇に切り込んでいこう。

(第2回につづく)