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ビットコインがついに「分裂」!? 一体どんな問題が生じるのか

8月1日から取引が一時停止となるが…

ビットコインに何が起きているのか

ITを用いた金融技術改革(フィンテック)の代表的存在であるビットコイン(bitcoin)が、近い将来、2つの異なる「コイン」に分離する可能性がある。

これは、ビットコインが、現実の通貨のように単一の管理者を持たず、取引情報を公開で分散管理するというブロックチェーンの技術を使った、「民主主義的」仮想通貨であるがために起きている現象だ。関係者が多く、簡単に物事が決まらないのだ。

 

分裂を回避するための合意の期限は7月31日なのだが、まだ合意ができていない。

これがビットコインの「危機」だと言われることがある。確かにビットコインは、2009年に発足して以来で最大の転機に直面している。しかしこれは、ビットコインが破綻するという意味での危機ではない。

今回の問題は、ビットコインの仕様改善方法を巡る意見の違いによって生じているのだ。そして、 仮に分離しても、保有しているコインが、なくなったりするわけではない。

ただし、取引が混乱する可能性はある。8月1日前後の取引は避ける方が安全だ。

また、価格が大きく変動する可能性がある。それは確かに問題だが、止むをえない。注意すべきは、予想される大きな価格変動を利用して利益を得ようと投機的な取引をすると、大損害を被る危険があることだ。

投機によって損害が生じ、ビットコインはいかがわしいものという印象が広がり、決済手段というビットコイン本来の利用が阻害されることが危惧される。

そうした事態を招かないために、ビットコインを保有している人はもちろんのこと、そうでない人も、何が問題になっているのかを正しく理解する必要がある。(拙書『仮想通貨革命』、『ブロックチェーン革命』参照)

民主主義的運用ゆえの現象

ビットコインが現在、抱えている問題は、処理スピードが遅いことだ。そのため今後の取引量増大に対応するため、機能を向上させることが求められている。これは、「スケーラビリティ」と呼ばれており、数年前からさまざまな提案がなされてきた。

ビットコインの運営に関与している者はさまざまな立場のグループに分類されるが、そのグループによって利害が異なるので、どのような方式を採用するかについて、合意が得られていない。

ビットコインには、つぎのようなグループが関係している。

第1は「コア開発者」だ。彼らは、ビットコインのプロトコル(ビットコインの取引を処理するためのコンピューターの手続き)を書いている。彼らは、ボランティアで仕事をしている。これがビットコインのインナーサークルとも言えるグループだ。ただ、他にも関係者がいるので、彼らの思う通りにはならない。

第2に「取引所」がある。取引所は、ビットコインと現実の通貨を交換している。そして手数料収入を得ている

第3に「マイナー」がいる。彼らは、ビットコインの取引を記録する役割をしている。この作業は「マイニング」と呼ばれるが、それから一定の報酬を得ている。マイニングの成否は、ほとんど「ハッシュパワー」と呼ばれる計算力で決まってしまう。中国のアント・プールなど少数のマイナーによる寡占状態になっていると言われる。

どんな事業でも、さまざまなグループが関連している。彼らはステークホルダーと呼ばれる。そして彼らの利害は一致しないことがある。その場合、株式会社などの組織では、最終的な意思決定機関が決定をする。

ところが、ビットコインにおいては、グループの考えの違いを強権的に解決するのではなく、民主主義的に決定するシステムになっている。このため、なかなか決まらないのだ。

このことは、ビットコインの仕組みに欠陥があることを意味するわけではない。従来の組織とは違う原理によって運営される事業が、いま試練に直面していると言うことだ。

ビットコインと同じようにブロックチェーンによって自動的に運営される事業は、今後増えると思われるので、ビットコインがスケーラビリティの問題をどのように解決できるかは、大変注目される。