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日本のCMの「炎上狙い」海外なら一発アウトです!

「やらしい」表現は響かない時代
河尻 亨一 プロフィール

話題になっても、リスクのほうが大きい

カンヌの流れを"スタンダード"として受け入れるのであれば、ここ最近物議を醸しているサントリー「頂」のウェブ動画や宮城県の観光PR動画は明らかにアウトである(前者はすでに公開中止)。

騒動をご存知でない読者のために少し補足すると、サントリー「頂」は、「絶頂うまい出張CM」というシリーズもののウェブ動画を公開。

出張先の飲み屋やレストランで偶然出会ったという設定の女性たちを手持ちカメラ風の映像で描く、ある種のナンパ企画ものなのであるが、「ふにゃぽよ」「肉汁いっぱい出ちゃいました」といった女性出演者たちのセリフや描き方に様々な意見が寄せられ、公開が中止となった。

決めカット(商品飲用シーン)で用いられる「コックゥ~ん」という演技も、報道されている通り性的エクスタシーを連想させなくもない。


(現在は公開中止となっているサントリー「頂」ウェブ動画)

一方、「涼・宮城の夏」と題された宮城県の観光PR動画はタレントの壇蜜さんを起用するもの。こちらも「も~欲しがりなんですから」「肉汁とろとろ」といったセリフや突如大アップになるリップ、出演者に撫でられてなぜか大きくなる(そのように見える)作り物の亀の頭などのカットを問題視する声がある。

両者に共通するのは"肉汁"。つまり、セクシャルなメタファーを確信犯的に映像表現の中に盛り込んで、話題を喚起しようとしている点だが、これらがもし国際的な場に出たら(特に西欧圏)、日本国内では考えられないほどの猛烈なバッシングにさらされても不思議ではない。

炎上どころの生易しいものではなく、長年時間をかけて築き上げてきたブランド(イメージ)やユーザーとの信頼関係が、それ一発で完全崩壊してもおかしくないレベルだ。

 

そして、コンテンツがたやすく国境を越えてしまうネットでは、日本語での表現であるとは言え、それが実際に起こってしまう可能性も低くはない。

よってブランド・コミュニケーションの観点からは、これらはかなりリスキーな施策である。話題喚起に成功したとしても、結果失うものも大きそうだ。

これらのCM(ネット動画)に関して、好き嫌いや倫理的よしあしを云々する前に、影響力の大きい国際フェスを取材した者として、まずその現状は報告しておきたい。