マリオ・ドラギECB総裁〔PHOTO〕gettyimages
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ECB総裁「金融引き締め」発言が招いた波紋

長期金利の上昇は正当化できるか?

先進主要国で長期金利が上昇中

意外なところからマーケットが「ざわついて」いる。もっとも「ざわつく」程度なので、いまのところ大きな動きにはなっていないのだが、注意をしておく必要はある。

その「ざわつき」とは、最近2週間弱の、先進主要国での長期金利の上昇である。発端は、6月27日のマリオ・ドラギECB(ヨーロッパ中央銀行)総裁の、景気刺激策の縮小を示唆する発言であった。

加えて、翌28日、今度はイングランド銀行のマーク・カーニー総裁が、「英国経済がこのまま好調を維持するという条件の下で金融刺激策の一部撤回が必要になる公算が出てくる」という発言を行った。これにともない、まずはユーロ圏とイギリスで長期金利の上昇が始まった。

イングランド銀行総裁のマーク・カーニー氏〔PHOTO〕gettyimages

例えば、ユーロ圏の中で最も金利水準が低かったドイツの10年物国債利回りは、7月11日時点で0.55%となっており、1ヵ月前の0.26%から約2倍に上昇している(ちなみに1年前のドイツの10年国債利回りは-0.16%であった)。

同じく、イギリスの10年物国債利回りも7月11日時点で1.28%と、1ヵ月前の1.00%から上昇している(1年前は0.76%)。ついでにいうと、カナダの10年物国債利回りも同様の要因(金融引き締め観測)で上昇している。

長期金利は先進国間で連動する性質があるので、これをきっかけに米国の金利も上昇し始めている。とはいえ、7月11日時点の米国10年国債利回りは2.36%で、1ヵ月前の2.20%から0.16%程度の小幅上昇にとどまっている(だが、1年前の1.43%からは大きく上昇している)。

 

一方、このような動きにもかかわらず、日本の長期金利はほとんど動いていない。7月11日時点での10年物国債利回りは0.10%であった(もっとも1年前は-0.27%であった)。ドラギ発言をきっかけに世界的な金利上昇気運が高まる中、日銀は、「イールドカーブコントロール政策」を適用して、「指値オペ」を実施、国債利回りの上昇に歯止めをかけたためである。

このような長期金利の動きに対応して、為替市場では、ほぼ同時並行で、ポンド高、ユーロ高(およびカナダドル高)が進行している。その結果、円安が進行し、為替レートと株価が連動している日本の株式市場では、株価が堅調に推移し、日経平均株価も2万円台を回復している。