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GPIF「8兆黒字」は安倍政権への神風か

頭痛のタネ、がひとつ消えた…?

やっと成果を上げた安倍政権の株式シフト

国民の年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2016年度の運用収益が大幅な黒字になった。3月末の日経平均株価が1万8909円と1年前の1万6758円から12.8%上昇したことが大きい。

運用収益額は7兆9363億円のプラスになった。2015年度は5兆3098億円もの運用損を出したことで、安倍政権の株式シフトが野党から強く批判された。その損失分も取り返した格好になり、GPIF問題を野党は一切追及しなくなった。

 

森友学園や加計学園問題などで内閣の支持率が大きく低下している時だけに、頭痛の種が1つ消えたことで、安倍晋三首相は胸を撫でおろしているに違いない。

前年度の運用収益率は5.86%。資産別では国内株式が14.89%と最も高く、次いで外国株式の14.20%となった。前年度の結果を見れば、第2次安倍内閣以降進めたGPIFの運用資産構成の株式シフトが奏功したことになる。

国内債券はマイナス0.85%、外国債券はマイナス3.22%だったため、仮に安倍政権がポートフォリオを見直す前の債権中心の運用が続いていた場合、運用収益率は全体でもマイナスだった可能性が高い。

中期的な運用成績を見ても、安倍政権の「株式シフト」は成果を挙げていると言ってよさそうだ。2012年度から2016年度まで5年間の累計の運用収益は39兆3616億円。その前の5年間はリーマンショックがあったこともあり、累計で3兆3716億円のマイナスだった。

2017年3月末の運用資産総額は144兆9034億円に達した。このうち、国内株式は23.28%と、1年前の21.75%からウエートが増えた。これは株価の上昇による含み益の増大も寄与しているが、GPIFの国内株のウェートとしては昨年12月末の23.76%が最も高くなっており、過去最大規模の国内株投資を継続していることを示している。

一方で、日本国債を中心とする国内債券については、2013年3月の61.8%から急速に低下し、2017年3月末は31.68%と最低水準を更新した。

GPIFが定める基本ポートフォリオ(資産構成割合)では国内株式は25%、国内債券は35%となっており、いずれもまだ余裕がある。短期資産を8.89%保有しているためで、年明け以降、キャッシュポジションを高める運用になっていたことを示している。

市場全体と比べてGPIFの運用成績がどうだったかを、目標とするベンチマークとの差でみると、国内株式はプラス0.20%とベンチマークに勝った。運用としてはまずまずの成果だったと言えるだろう。もっとも、外国株式がベンチマークに負けたことが響き、資産全体ではベンチマークの収益率6.22%を、実際の収益率は0.37%下回った。