ライフ

「燃え殻さん」って何者だ…?デビュー作が品切れ続々で話題

~フォロワー9万人から小説の世界へ
宮田 文久 プロフィール

――ドキドキしますね(笑)。

燃え殻 すっごいドキドキしました。ハガキの中でしか知らなかった人のプライベートが見られて、しかもネタまで流れてくる。こんな幸せな「メディア」はないでしょ。そこで、「Twitter、めっちゃくちゃ面白い!」とハマったんです。

ある日、Sさんがフォローしてくれたら、「ヤバい、相互フォロワーになった!」と、美人の読モにフォローされるより嬉しかった(笑)。しばらくしたら、Sさんが僕のツイートに反応してくれるようになって、そうなるともう、“ネタが採用された”ような心境でした。

その時に、「あ、Twitterって、僕が好きだったラジオの深夜番組の現代版だな」って思ったんです。芸能ネタから社会問題まですべてがダイレクトに流れてくるんですけど、それを大喜利にしてみたりとか、自分なりに茶化してみたりとか。僕が夢中になって聴いていた、とんねるずやウッチンナンチャンの『オールナイトニッポン』、『パックインミュージック』に『浅草キッドの土曜メキ突撃!ちんちん電車!』とか、ああいう番組のやり方と同じなんですよね。

そんなことをしていると、ハガキ職人の頃の気持ちが戻ってきちゃって、その日会社であったことを、ちょっとネタっぽくアレンジして投稿し始めたんです。「日報」のような感じですね。

当時30代半ばぐらいで、東京から離れていく友人なんかもいるなか、僕にはそんな選択肢も生命力もなかった。だからその代わりに、ツラい日々でも何か面白おかしいことはないかと思って、ハガキ一枚くらいの、クスッと笑えることを呟こう、と。

スピードワゴン・小沢さんとの出会い

――連絡ツールとしてだけでなく、日頃の体験を呟き始めた。その味わいのあるつぶやきが人気を博していく、と。

 

燃え殻 そのうち、つぶやく内容が「日報」という形からだんだんとはみ出していって、普段の自分のことを呟き始めました。ネガティブなツイートも多いんですけど、日常との“段差”をできるだけないようにしているんですね。

Twitter上では、アイコンひとつで性別も変えられるし、経歴だって偽ることができる。でも、そこに“段差”をつけず、悪意や恐怖に基づいたものではなく、かといって批評でもない形で、人とつながりたいな、と感じるようになりました。そうすると、著名な方が僕のツイッターをフォローしたり、リツイートしてくださるようになって、気づいたらフォロワーがどんどん増えていって…。

――「気づいたらフォロワーが9万人になっていた」、と。僕なんか、いまだにフォロワー数280人ですよ。でも、燃え殻さんのツイートが人気なのは、その「段差のなさ」にあるんでしょうね。偽りや底上げした感のなさが受け入れられている。

燃え殻 そうかもしれませんね。そんな折に、(お笑いコンビの)スピードワゴンの小沢一敬さんが僕のことをフォローしてくれたんです。なんの拍子だったか、正確には忘れましたけど…。やっぱり根はミーハーですから、テレビに出てる人とつながると嬉しくって。その頃、ちょうど小沢さんが小説を出されていたので、買って読んだんです。その感想をDMでお伝えしたら、返事をいただいて。それで勇気を出して、「会いませんか」と言ってみたんです。

――燃え殻さんもテレビの世界にいたわけですが、それまで小沢さんと面識はなかったんですか。

燃え殻 まったくなかったです。だから、会う前はやたら怖くて…。小沢さんからは「美味しいクレープ屋さんが浅草にあるから、食べに行きませんか」と連絡がきたんですよ。もう最初は“闇”しか感じませんでした(笑)。