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プーチンもメルケルも手なずけた、習近平「恐るべき外交術」の神髄

G20深層レポート

G20とそれに先立つロシア、ドイツ公式訪問を巡って繰り広げた習近平主席の大国外交について、2週にわたってお届けしたい。まず前半の今週は、ロシア・ドイツ編である。

プーチンとサシで3時間半

習近平主席が、他国の指導者と較べて、優秀かつ英明かといえば、私は必ずしもそうは思わない。その点で較べるなら、今回登場するプーチン大統領やメルケル首相の方が上だろう。

では習近平という政治家は、何が優れていて世界最大規模の国家のトップに立てたのか。

政治家・習近平の特長を3つ挙げよと言われたら、私は頑固さ、我慢強さ、そしてタフであることを指摘したい。今回の大国外交は、まさに「習近平の3拍子」が如何なく発揮されたものと言えた。

7月1日、中国共産党96周年の日、先週のコラムで詳述したように(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52198)、習近平主席は香港で返還20周年式典を、華々しく挙行した。そして夕刻に北京に戻ると、翌日の日曜日をおいて、3日午後には慌ただしくロシアへと向かったのだった。

 

習近平主席が2013年以降、ロシアを訪問するのは6回目、「盟友」プーチン大統領との中ロ首脳会談は、今回が実に21回目となった。プーチン大統領も、習近平時代になって6回訪中している。ちなみに安倍晋三政権発足以降、習近平主席は1度も訪日していないし、プーチン大統領は昨年末に一度来たきりだ。

こうした回数を較べると、プーチン政権は日本よりも中国を、はるかに重視していることが分かる。

ロシアにとって中国は、6年連続で最大の貿易相手国であり、今年の中ロ間の貿易額も、5月までの前年同期比で33%もアップしている。昨年ロシアを訪問した中国人観光客数は107万人で、こちらもロシアにとって最大。すでに中ロ間の友好都市は101を数え、ロシアの大学の中国語学習者は4万人を超えている。

まさに数年後には、ロシア経済の命脈を中国が握るという状況になるだろう。そんな中で、3日夕刻に習近平夫妻はモスクワに降り立った。

公式訪問なので、空港での中国国歌の演奏などを経て、習主席はクレムリン宮殿に直行した。到着したのは夜7時半ごろだったが、出迎えたプーチン大統領と、そのままサシで11時過ぎまで、3時間半以上も非公式の中ロ首脳会談に臨んだのだった。

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経済貿易から北極・宇宙、北朝鮮まで

プーチン大統領と対峙する時、習近平主席はいつも「3つの不変」を説く。国際情勢がどう変わろうとも、中ロの全面的戦略パートナーシップ関係は不変である。中ロ両国の発展と振興を実現する目標は不変である。そして国際秩序と安定を維持していく決心は不変である、というものだ。

だが3日夜の会談(密談)は、そんな原則論ではなくて、もっと“生臭い”話に終始したことだろう。数日後に会うトランプ大統領をどう扱うべきか、ますます物騒になる北朝鮮をどうしようかといったことだ。習主席はプーチン大統領に、「北方領土をどうするつもりなのかい?」とも聞いたはずだ。

そんな積もる話をしているうちに、当初、1時間半の「挨拶」のつもりが、3時間半以上の密談となったというわけだ。