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国民の恐怖はカネになる…ハリウッドが警告し続ける軍産複合体の冷血

アバター、アイアンマンからローガンまで
遠藤 徹 プロフィール

こうして国家機密を民間に委託していった結果、諜報活動費は年800億ドル以上に達しているという。アメリカ国軍の予算全体もまた、年間7000億ドル以上と、この10年で2倍になっている。軍事産業はますます巨大化しているのだ。

その背景には、たとえば軍隊そのものが、すでに民間委託されているという事実がある。大手の民間軍事会社には、ダインコープ・インターナショナル、MPRI(Military Professional Resources Inc.)、そしてブラックウォーター(現Xe)などがある。

民間軍事会社MPRIのCEOは、「我々は、一平方メートルあたり、ペンタゴン(アメリカ国防総省)よりも多くの将官数を擁している」と豪語している。軍の主力はすでに、外注に依存しているというのが現状なのだ。

 

なぜこのような企業が繁栄するかと言えば、当然実入りが大きいからである。たとえば、一人の兵士をイラクやアフガンに派遣するために、訓練し、装備を与え、さらに現地での活動を維持するためには年に百万ドルかかるといわれている。事実、イラクとアフガンでの戦争では、最終的に一兆ドルを超える予算が使われたとされている。

こうなると、軍と結託した企業が政治を操るという事態が発生する。

ボブ・ウッドワード(Bob Woodword)の『オバマの戦争(Obama's War)』によれば、アフガン戦争時にオバマ大統領は、軍備縮小の道を望んだが、国防総省から提示されたのは軍備増強の一択だけだったという。

軍事産業のあまりの巨大さに、大統領でさえも屈してしまう…。オバマはこの時、「わたしの選択肢はないのか? 一つしか選択肢が与えられないなんて」と嘆いたそうだ。

『アバター』の裏メッセージ

軍産複合体がアメリカを、さらには世界を牛耳っている状態に対する鋭い批判を、もっともわかりやすく示しているのが、ハリウッドの超大作映画であると言ったら驚かれるだろうか?

たとえば、ジェームズ・キャメロンの『アバター』(2009)はどうだろう。自分の星の資源が枯渇したため、人類が他の星を侵略し破壊する、というのがこの映画の大きな枠組みであった。

従来のSF映画では、他の星を侵略するというのは宇宙人の行為であったが、いまや科学技術が進歩した人類こそがその侵略者宇宙人と化すわけだ。

そして、この侵略の中心にあるのが、RDA(Resources Developement Administration)という企業であり、その傘下にあるのがSecOpという民間軍事会社なのである。軍産複合体、民間軍事会社による、惑星侵略というのが、この映画の骨格だったわけだ。