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国民の恐怖はカネになる…ハリウッドが警告し続ける軍産複合体の冷血

アバター、アイアンマンからローガンまで

「軍産複合体」をご存知か?

「製造されるすべての銃、進水するすべての軍艦、打ち上げられるすべてのロケットが、最終的には飢えている人や、食べ物がない者、凍えている人や、服を持たない者からの盗みを意味している」――。

1961年1月17日に行われた、第34代大統領ドワイト・D・アイゼンハワーの退任演説の一節である。この演説において、アイゼンハワーは、企業と軍隊の融合が民主主義に対する脅威となることを予見し、警告したのであった。

軍産複合体(Military Industrial Complex;MIC)という言葉は、上記のような危惧を表現するために、この演説で初めて使われた言葉だ。

けれども、この時代には軍事ケインズ主義と称されるものが、まだ生きていた。朝鮮戦争の時のように、銃を多く作ることは、経済もよくすると信じられていたし、実際ある程度までそれが事実でもあった。だから、この先見の明に富んだアイゼンハワーの演説は、あまり深刻に受け止められることはなかった。

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軍事産業の形成について、政治学者のミルズ・ライトは、1956年に著した『パワー・エリート』において、「軍事的な空論(military metaphysics)」という概念を提唱している。

それは、国際的な現実を軍事的な視点で解釈し、定義しようとする精神構造のことだ。この見方では、恒久的な平和というものはあり得ないということになる。平和というのは、せいぜい過渡的なものであり、「戦争の序曲、あるいは戦争の中休み」に過ぎないのである。

実際、この本が出版された1950年代はソ連との対立関係があったため、この「恒久的な脅威の存在」には実感が伴っていた。それが、大規模な軍事産業の形成とアメリカ国軍との癒着関係を促進することになったわけである。

 

国民の恐怖はカネになる

9.11の後、当時アメリカ国防長官だったドナルド・ラムズフェルドは、スタッフに「脅威を永遠に持続させよ」と書いたメモを渡したという。

対テロ戦争への支持を得るために、アフガニスタンへの恐怖を煽ることを指示した。国民に「自分たちが暴力的な過激派に包囲されている」と気づかせることが大切なのだ。その結果、2017年の現在に至るまで、軍産複合体は巨大化し続けている。

なぜそんなことが起きるのか。たとえば、「ワシントン・ポスト」紙が2010年の7月19日に掲載したナナ・プリーストとウィリアム・M.アーキン(Nana Priest & William M. Arkin)による「アメリカのトップシークレット(TOP SECRET AMERICA: A Hidden World, Growing Beyond Control)」という記事にはこんなことが書かれている。

9.11以後かつてはCIAが一手に担っていた国家安全保障のための諜報活動が「諜報コミュニティ」とでも称すべきものへと拡大している、と言うのだ。

諜報機関の数は17にまで増え、193の私企業が参加し、50万人の契約社員が国家機密を保持しているというのである。2013年に、国家安全保障局(NSA)による個人情報入手の手口を暴露した、エドワード・スノーデンも、このような国家機密を扱う契約社員の一人だった。