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茨城県知事選で飛び交う自民党の「あまりにキナ臭い話」

保守分裂選挙の壮絶な舞台裏
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官邸に激怒する自民党県議たち

耳を疑う証言が、複数の自民党茨城県議から飛び出した。

「カネは自民党茨城県議会の幹部から渡されました。3月24日、6月21日の2回。いずれも県議会閉会日です」

「3月の県議会定例会が閉会した直後、(自民党の)県議全員に議会棟内で各100万円ずつ、さらに6月の県議会閉会日にも、同様にして30万円ずつ配られました。バラまかれた総額は5720万円。2回目は額が少なかったので、中には『ケチだな』とこぼす議員もいました」

「通称『キツネの間』と言われている(県議会)議員控室に1人ずつ呼ばれ、現金100万円を幹部から手渡しされました。私もその1人です。部屋に狐の絵が飾ってあるから、そう呼ばれているんです。

その幹部はこう言いました。『菅(義偉)官房長官と梶山(弘志)県連会長が決めた元経産官僚の大井川和彦が県知事選の自民党公認候補だから、協力するように』。

自民党執行部丸抱えの知事選の手伝いを、公認候補が出馬表明する前からさせられているんですよ。あれをやれ、これをやれと、『雲の上』からの指図ばかり降ってくる。我々を何だと思っているのか。この話が明るみに出た暁には、地元の有権者にお詫びし、知事選の応援は自粛するつもりです」

さらにこの県議は、「受け取ったカネを有権者の飲食接待に使い、その隠蔽のために白紙領収書を配った県議もいると聞きました。さすがに警察も動いている、と聞いています」とまで明かした。

あまりに生々しい。これらの証言が事実ならば、なんともキナ臭い話だ。

 

いま永田町の住人たちが熱い視線を注いでいるのが、8月27日投開票の茨城県知事選挙。現職知事で元自治官僚の橋本昌(まさる)氏(71)に、自民党県連が推薦する無所属新人・大井川和彦氏(53)、NPO法人代表の鶴田真子美(まこみ)氏(52)が挑む。

前回2013年の選挙では、橋本氏と共産党推薦候補の一騎打ちで、橋本氏がほぼダブルスコアの勝利を収めた。だが今回は、橋本氏と大井川氏の「保守分裂」の構図となっており、情勢は流動的だ。

なぜ保守系の橋本氏に、自民党が刺客を送り込んだのか。そしてなぜ、県議たちに「応援するように」と言い含める必要があったのか。

キーワードは「多選」である。橋本氏はこの選挙で当選すれば7選となり、日本一の最多選知事になる。実は前回選挙でも自民党は刺客候補の出馬を模索していたものの、断念し自主投票となった。

「橋本知事も、5選目以降は自民党からの推薦を外された。県知事はいわば財務・総務・経産といった官庁の天下り先のひとつ。政権からすれば、常に新陳代謝がないと困るし、できれば2期くらいで交代してもらって、素人でいてくれたほうが御しやすい。だから自民党は多選を嫌がっているのです」(全国紙政治部デスク)

にもかかわらず、橋本氏は実力で当選を重ね続けた。しかも、前回選挙で自民党は「不戦敗」の屈辱を味わっている。力が入るのも当然だ。

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