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英語

ビジネス英語のカリスマが明かす「英語上達の第一歩」

「きく」「聞く」「聴く」の違いが分かりますか?

NHKラジオ講座「実践ビジネス英語」の講師を30年にわたってつとめている杉田敏さんは、世界的な大企業を渡り歩いてきたスーパービジネスマンでもある。

そんな彼が自身の実体験をもとに、若者たちに世界で活躍するための「キャリア・アドバイス」を説いた話題書『成長したければ、自分より頭のいい人とつきあいなさい』より、英語上達の秘訣を明かしたパートを特別に紹介します!

夢を現実にするためには目を覚ませ

グローバルなキャリアを目指すのであれば、英語の学習は必須です。

「中学生の英語レベルで日常会話は用が足りる」などは俗によく言われることですが、いっぱしのビジネスパーソンが中学生レベルのカタコト英語では教養が泣きます。

「一生懸命話せば何とか意思は通じる」「シャワーのように英語を浴びているだけで、やがていつか英語が話せるようになる」「日本式発音でも理解してもらえる」「文法など知らなくてもいい」「簡単な単語数語だけ並べても通じる」……。

巷には英語学習に関するこうした「俗説」が溢れています。これらはすべて「神話」だと思ってください。こんなことは「夢」の世界にしか起こりません。

また、都合のいいことに、枕の中に組み込まれたテープレコーダーから流れてくる英語を聞きながら眠れば、寝ている間に英語がうまくなる、といった文字通りの「夢の機械」もかつて登場しました。最近はあまり話題にならないのは、効果がなかったからなのでしょうか。

夢を現実にする一番いい方法は、目を覚ますことである。
The best way to make your dreams come true is to wake up.

―Paul Valéry (French poet, 1871-1945)

こう言ったのはフランスの詩人のポール・バレリーです。

「現状でそれほど努力せずに英語を上達することができるのだ」と思っている限り現状維持です。それよりも上の段階に行くことは無理でしょう。

まず目を覚ましてください。

 

漫然と聞く英語は、ただの雑音でしかない

ただぼんやりと「シャワーのように」「BGMのように」英語を聞いていたのでは、どんなに長時間行っても効果は上がりません。

一般的に「リスニング」といっても、コミュニケーション理論ではSIERという4つの段階があると言われます。それを「きく」「聞く」「聴く」「効く」と表してみました。

まずいちばん低いレベルが「きく」(Sensing)です。これはセンサーが音を感知する状態、つまり「音がしている」ということを知覚する段階です。

英語をシャワーのように「浴びる」という行為は、この段階にあたります。その音がどのような意味を持っているかといったことは、まったく識別していません。英語を「音」として聞いているだけで、「言葉」を理解しているわけではないのです。

この次が「聞く」(Interpreting)の段階です。これは相手の言っていることの意味がわかるというレベルです。つまり音を言語として認識し、その意味がわかるという段階。

英語の音に慣れてくると、最初は雑音にしか聞こえなかったものの中から、言葉やフレーズが聞き取れるようになります。それはまさにこの段階です。

3番目のレベルは「聴く」(Evaluating)で、相手の話している内容を理解・把握し、その内容について考察・吟味できる状態を指します。評価を下すという、より能動的で積極的な行為です。

そして最後の段階が「効く」(Responding)。これは相手に対して、適切な反応をする段階です。相手の話をきちんと聞き、理解し、評価を加え、適切な反応を発信することを指します。このレベルで本当のリスニングが成り立つのです。

英語をただ音として、センサーのように感知していたのでは、何千時間聞いても上達しないのは当然です。真剣勝負のつもりで、注意力を集中して聞かなければ効果はありません。

ただ、人間の注意持続時間(attention span)が10分間程度とすれば、あまり長い間リスニングを続けると効率は落ちます。

漫然と一日中英語を聞いていても、それはただの雑音にしかなりません。それよりも10分でも15分でも集中して聞くほうがずっと力になります。

せっかくの教材を生かすも殺すもあなた次第なのです。