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「自腹キャバ嬢」たちが持っている、中途半端なプライド

オンナの集取報告書【27】

鈴木涼美さんが独自の夜人脈を駆使してオンナのおカネの稼ぎ方・使い方について取材・考察する本連載。今回は、ガツガツ働くわけではないけど「赤文字キャスト」にならないために人知れず努力(?)しているキャバ嬢さんのお話です。

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人はオカネでプライドを購入する

現代人が、お金を惜しまずつぎ込むのはハゲ対策とデブ対策とはよく言われる。確かに飲んだら絶対にハゲないサプリがあれば100万円でも飲むだろうし、飲んだらいくら食べても太らないサプリもしかりである。不老不死とかもそうだろうけど、そちらは最早SFの世界である。

もちろん、AKBにだけはお金を惜しまず使うとか、エルメスのためならアナルも解放、とか色々な趣味はあるし、別に税金さえ払えれば自分が稼いだお金をどんな風に使うかというのは全く本人の自由である。

私も、19歳の頃から毎月ネイルに5万円かけているけど、それについて誰かに文句を言われたくもないし言われる筋合いもない。ボロを纏えどネイルは豪華。ただ、ネイルが100万円だったら諦めるかもしれないし、エルメスは100万円以上なので諦めている。

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デブとハゲというのはもちろんコンプレックスに訴えかけるものである。ちなみに私のネイルも、指が一般的な成人女性に比べて短くて太いコンプレックスが根底にあるとも思う。

コンプレックスに人が際限なくお金を注ぎこめるのは、それが無形の敵であるからだ。形のない、何か大きなものというのはそもそも相場がわからないし、エルメスのバッグやピカソの絵と違って手に入ったと思った瞬間にまた指の隙間からすり抜けて消えてしまったりする。整形やちょっとした化粧品のうたい文句も、人のコンプレックスをうまくくすぐるものはヒットする。

日本に住んでいるとテレビコマーシャルで絶え間なく地震に強い家が宣伝されているのはごく自然なことなのだが、海外からの留学生であった友人はそれに驚いていた。安全もまた人がお金を惜しまない対象であり、もちろんその根っこにあるのは不安というこれもまた無形の何かであったりする。新興宗教だってそうだ。

 

で、コンプレックスや不安に負けじとも劣らない私たちのお金の向かう先、投資の源泉、お金で少し手に入れたような気がしてすり抜けていくものというのが私はプライドだと思っている。

ホストクラブに通う女の子たちがほぼ泣きながら自分の身の丈以上の金額を使うのも、借金してまで子供を私立に通わせる親も、ある種の誇りを満たすという行為のように思える。

逆に例えばホストの側が、ナンバーワンの座を無理やりでも維持するために自分の身銭を切って客を店に呼び、半額は自分が負担するから、と言って高い注文をさせるというのもよく聞く話で、これはわかりやすくプライドを実際のオカネで購入していることになる。

それはわかりやすい話で、どれくらいの金額までなら自分で負担するかは別として、金で手に入れられる地位というのはあってそれは魅力的なものである。

ただ、ホストクラブの客や教育ママや見栄を張るための外車やブランド品が、お金を使っている、いくら使っている、それだけ使えている、ということ自体も一部そのプライドの獲得に含むのに比べて、ナンバーワンの維持はお金を使っていること自体はぜひ隠しておきたい内実で、できれば使わずに手に入れるのが理想だという点でだいぶ違う。