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小池百合子「総理への道」はこうして作られる

待望論が出るまで動かない

衆議院議員時代、麻生や石破と総裁選で争ったのは9年前のこと。都議選勝利で、「ポスト安倍」の最右翼の呼び声が、もはや冗談ではなくなった小池。対する安倍は、「一強」が潰え、苦悩に悶えている。

安倍の電撃辞任もある

都議選で大勝をおさめた後、願掛けで断酒していたビールを半年ぶりに飲み干した。だが小池百合子は、まだ安堵していない。

〈都知事選の勝利、そして今回の都議選の勝利は、あくまで想定内。私にとっては、悲願達成のためのステップに過ぎない〉

7つの政党を渡り歩き、10回の選挙を経験した小池にとって、都議選はたやすい戦いだった。都民ファーストの会関係者が語る。

「有権者の空気を、小池は完全に読み切った。'09年から3年続いた民主党政権で、有権者は日本の2大政党制を見限っていた。さらに、消極的支持で安倍政権を信任していた層を、適切なタイミングで呼び込んだのです」

そこに、自滅ともいえるスキャンダルの嵐が自民党を襲った。

今日から、'09年の民主党政権誕生と同様、いやそれ以上の政界再編が起こる。変わらないと思っていた政治が、大きなうねりをもって動き出す。その先にあるのは、早ければ来年にも実現する「日本初の女性宰相」誕生だ。

自民党の閣僚経験者が言う。

「安倍の電撃辞任も現実味を帯びてきた。第1次安倍政権と同じ様相だ」

 

2週間前に遡ろう。

国会閉会の翌日、6月19日のことだ。今井尚哉首相秘書官は、各紙朝刊で報じられた世論調査の内閣支持率を見て愕然とした。軒並み50%以下。新聞によっては36%。
このままでは危ない。

「夕方の総理の会見原稿を差し替えろ。『謝罪と説明責任』だ」

安倍晋三総理もそれを認めざるをえなかった。

「印象操作のような議論に対して、つい、強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が、結果として、政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省しております」

新たな原稿が付け加わった。そして、安倍はこう続けるのである。

「信なくば立たずであります。何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく」

会見に同席していた菅義偉官房長官は深くうなだれ、思い詰めたような表情を浮かべていた。

〈説明責任?また、俺のせいか。しかし、加計も森友も、国会さえ終わってしまえば、世間も忘れる。これで大丈夫だ〉

実際、すべてがリセットされたはずだった。

だが20日になって、萩生田官房副長官の加計学園を巡る文書の存在が表に出た。都議選直前に「加計」スキャンダルが再燃するのはまずい。

稲田朋美防衛相Photo by GettyImages

だからこそ、23日の都議選告示後、議員のスキャンダルが発覚したのは、当初、安倍や菅にとって実は好都合だった。豊田真由子代議士の「秘書パワハラ」事件に次いで起こった、稲田朋美防衛相の「自衛隊」発言――。

「都議選で敗北しても、豊田と稲田の暴発のせいにできる。森友・加計問題から目をそらさせるチャンスだし、自分たちの責任は問われない」

6月27日。記者と懇談中に稲田の発言を知った菅は、そう考えてすぐに今井を通じて安倍に連絡をとった。安倍は一瞬絶句し、稲田の携帯に電話した。

「どうなってるんだ。自衛隊だって!?」

菅から稲田に連絡が行く。「発言には気をつけなさい」と発言撤回と謝罪を求め、急遽深夜の会見を行わせることにした。ひとまず自分たちの任命責任を回避できる。

〈騒ぎになるかもしれないが、加計に比べればまし。大勢に影響はない〉

思わず稲田を怒鳴ってしまったものの、安倍はこの晩の段階ではまだ安心していた。