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習近平の習近平による習近平のための「香港返還20周年」

皇帝様の「完全支配」がはじまった…

全体主義国家スタイル全開で

1997年7月1日、700万香港市民は、期待と不安を錯綜させながら、英国から中国への返還の日を迎えた。

パッテン総督が英国旗を巻いて帰還し、江沢民主席と董建華・初代香港特別行政区長官が、代わって五星紅旗と香港特別行政区旗を掲げた。また、7月1日0時をもって、深圳から人民解放軍の駐香港部隊が入ってきた。

私は返還の直前に香港を取材したが、まさに「期待と不安」の中での船出だった。

あれから20年、はからずも中国共産党創建96周年記念日にあたる2017年7月1日、香港は返還20周年を迎えた。習近平主席は6月29日から7月1日まで2泊3日で香港に乗り込み、中国中央電視台(CCTV)は計36時間に及ぶブッ通しの特別番組を放映する力の入れようだった。

こうして返還20周年は、習近平の習近平による習近平のためのイベントと化した――。

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6月29日正午、習近平主席は彭麗媛夫人を伴って、香港に降り立った。

習近平主席は5年前の12月、共産党トップに立った翌月に、「八項規定」(贅沢禁止令)を定めた。その中には、赤絨毯を敷いてはいけないとか、横断幕を垂らしてはいけないといった禁止事項が定められている。ところがこの日、主席専用機のタラップからは豪華な赤絨毯がしつらえてあり、「熱烈歓迎習近平主席」という横断幕が掛かっていた。

香港の子供たちも多数、空港に動員されており、五星紅旗を振りながら、「歓迎習主席!」と、母語の広東語ではなく北京語(標準中国語)で声を合わせている。まさに全体主義国家のスタイルである。

中国共産党の党色である紅色のネクタイをつけた習近平主席は、そんな様子を満足気に長めながら、空港に到着早々、1回目のスピーチを行った。

「香港は今日、本当に暑いな。皆ご苦労さん。

9年ぶりにこの地に降り立って、私は感動を覚える。しかも二日後には、香港が祖国に返還されて20周年という、国家と香港にとっての一大慶事を迎える。

私が今日、ここへ来た目的は三つある。第一に祝福を述べるためだ。香港はこの20年、巨大な成果を収めた。第二に香港を支持するためだ。この20年というもの、中央は終始、香港の経済発展の後ろ盾となってきた。

そして第三に、香港の未来について計画を立てるためだ。これからも香港の各界と一体となって、『一国二制度』を確保していきたい」

5年前の返還15周年の際には、当時の胡錦濤主席が香港を訪れたが、空港へ到着するなりこんな演説はしなかった。だが今回は、主席専用機が着陸する場面から、中国中央電視台が全国生中継である。

私が気になったのは、習近平主席が「一国二制度」と言う時、「二制度」よりも「一国」の方に力が入ることだった。