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政治政策

文科省内でささやかれる、松野大臣への新たな「忖度疑惑」

母校でノーベル賞受賞者の講演って…

どこまでも「忖度」なのか

東京都議会選挙では、自民党につきまとう”忖度政治”のイメージに都民が「ノー」を突き付けたが、霞が関に黒々と立ち込める忖度の暗雲は簡単に晴れそうもない。また一つ、知られざる”忖度案件”が、関係者の証言で浮上してきた。

官僚たちが細やかな”忖度”をしていたことが浮かび上がったのは、松野博一文部科学相。加計学園獣医学部の問題で、官邸側が早期開学を促したとされる「総理のご意向」文書について、当初は「確認できなかった」と言い張り、のちに存在を認める失態を演じた、その人である。

”忖度”そのものは、多くの場合、法に触れるようなものではない。霞が関の官僚たちは、優れた頭脳を駆使して、大臣の意向をくみ取り、自分たちの権限を利用して、うまくご機嫌を取ろうとする。もちろん、出世にプラスになるという思惑があるからだろう。

だが、税金を納めている国民にしてみれば、必ずしも合理的ではなく、きちんとした説明もなされないような税金の使われ方をすること自体に嫌気がさす。

さて、関係者によれば、松野大臣に対して”忖度”を行っていたのは、文科省(旧文部省と旧科学技術庁が合併)の官僚たち。進められたのは、同省の事務次官が、現在の戸谷一夫氏になってから、つまり2017年1月以降のことだという。

安倍批判で一躍話題の人となった前川喜平氏(前事務次官)が、天下り問題の責任を問われて官邸にクビを切られた後、ということになる(ちなみに前川氏は旧文部省出身、戸谷氏は旧科学技術庁出身だ)。

 

官僚は、気配りを欠かさない

”忖度”の舞台になったとされるのは、千葉県にある県立木更津高校。松野文科相の母校だ。今年4月10日、この学校を、ノーベル化学賞受賞者の野依良治博士と、インドネシア、タイ、バングラデシュの高校生131人が訪問した。

旧科技庁最大の天下り団体「国立研究開発法人・科学技術振興機構」が主催する日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプラン)の「ハイスクールプログラム」のイベントで、海外からやってきた高校生らは、一連の訪問地の第一番目として、まっさきに木更津に案内されたのだった。

この事業を手掛けたのは、同機構の特別顧問で同事業推進室長の肩書きを持つ、沖村憲樹氏だという。ある文科省関係者はこう話す。

「沖村氏は、現次官の戸谷氏を含む旧科技庁グループに大きな影響力を持つ、元文科省ナンバー2です。

”旧科技庁のドン”とも呼ばれる実力者で、中央大学法学部時代の後輩である高村正彦・自民党副総裁らを後ろ盾に、旧科技庁系官僚たちに長年影響力を行使してきたと噂され、民進党の杉尾秀哉参院議員が国会で天下りとの関係を追及したこともあります。

国際交流事業の決定権は、実質的にこの沖村氏、そして広瀬研吉JST中国総合研究交流センター副センター長(元内閣府原子力安全委員会事務局長)や戸谷次官ら、旧科技庁グループの手中にあると言えます」