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サイバーエージェント藤田晋社長が「AbemaTV」を始めたワケ

「放送」でも「動画」でも気にしない

インターネットメディア・広告企業のサイバーエージェントを取材した。同社はいま、テレビ朝日と共同出資したインターネットテレビ局「AbemaTV」を運営。1周年記念企画「亀田に勝ったら1000万円」が話題を呼ぶなど、既に月間800万人ものユニークユーザーを抱えている。同社を、史上最年少となる26歳で上場に導いた藤田晋社長(44歳)に話を聞いた。

藤田晋サイバーエージェントの藤田晋社長

遊んでいる時のほうが辛かった

【才能】

起業したのは、大学生の時にベンチャー企業でアルバイトしたことがきっかけでした。私と年齢が10歳くらいしか変わらない30歳前後の方たちが事業の立ち上げに四苦八苦しているのを見て、「なんて楽しそうなんだ!」と起業を考えたんです。

逆に目標もなく遊んでいる時期もあったのですが「これほどつらいことはない」と感じていました。どう育ったらこういう人間になるのかは、いまだにわかりません。

【今】

「AbemaTV」を開局したきっかけは「時がきた」からです。インターネットでTV局をつくれることは誰もがわかっていました。これまでも様々なサービスが生まれ、10年以上前には当社も参入したことがあります。

しかし、いまだ成功しているところはありません。理由は「視聴習慣」がなかったこと。何か見たいと思ったらパソコンを立ち上げ、ネットにつなげ……という習慣がなく、多くの人がテレビを選んだのです。

 

でも今は違います。スマートフォンの通信速度が速くなり、若い人はリビングでテレビを見るより、自分の部屋でスマホの動画を見る。Jリーグを見ようと思ったらネットで「DAZN」(スポーツの試合をネットで視聴できる動画配信サービス)を見る。

それが電波を経由した「放送」なのか、ネットを経由した「動画」なのかを気にする人はいません。参入するにあたって早すぎず、遅くもない。それが今だったんです。

【道なき道】

起業して大変だったのは、ビジョンを示しても誰も納得してくれないことでした。新事業を始め、収益を上げるまでには多少の年月がかかります。いまなら「藤田が言うなら」と納得してくれる人もいますが、当時はそんな人もいない。説得は基本的に無理です。

上場して名が知られるようになると、ネットで散々「失敗する」と書かれました。対応策は「耐えきる」ただそれだけ。バカにされるだけなんだから、それで折れたらもったいない。そもそも何も持っていない人間が「カッコよくやろう」なんてできるわけがないんです。

時間をつくる秘訣

【趣味】

常に心がけているのは、多少億劫でも新しいネットサービスを自分自身で体験してみること。アカウントをつくって使ってみるのは面倒ですが、続けていると「このサービスは臨界点を迎えているからもうすぐ爆発的に広がる」とわかるようになってきます。

そもそも日本企業がITで遅れをとってしまった原因は、上層部の人たちが新しいサービスやアプリを使わなかったからなのかな、と思います。

【困りごと】

ランチはほぼ毎日、ミーティングをしながら摂ります。なぜって、社員をランチに誘うとみんな私に気を使って、無理してでも付き合おうとするからです。ちょっと声をかけただけなのに「調整します!」なんて言われて。

どうしても付き合えないとなると、あとでお詫びのメールがくる。これじゃあ誘うのが申し訳ない。かといって一人で食べていると、ネットに「藤田が一人で寂しそうにラーメンを食べていた」などと書かれてしまうんです……。