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俳優本人たちが語る「ワルの醍醐味」~香川照之、吹越満、新井浩文…

テレビドラマは主役より悪役が面白い!

影が濃いほど、光は輝く。主演俳優で見るドラマを選ぶ時代は終わった。人間には善と悪が混在する。だからこそ、私たちは悪役に惹きつけられる。名優が演じるヒールは人間臭く、そして魅力的だ。

本来、人間はグレーな存在

「ドラマには主役と相手役がいて、それらを取り囲む脇役がいる。そこに悪役も含まれるわけですが、往々にして一人です。

しかもドラマには『色』があって、例えばそれが『青』だとしたら、悪役だけは青くない。つまり『点』の存在なんです。だから、どうしたって非常に目立つんですよ」

そう語るのは、数々の作品で悪役を演じてきた俳優・吹越満(52歳)だ。

作品がヒットするか否かは、悪役が魅力的かどうかにかかっている。これがいまのテレビドラマ界の定説。視聴者も誰がどんな悪役を演じるのか、期待する時代になった。

 

ベテラン俳優の寺田農(74歳)は、悪役の醍醐味をこう言う。

「主役は、今も昔も設定が台本にかなり書き込まれているから、役者はその枠からなかなかハミ出せない。

一方で、昔は特にそうですが、悪役は脚本段階ではあまり書き込まれていないことが多く、監督や演出家と相談しながら、役者は好き勝手にやってよかったんです。役に幅があるから演技力も求められる。やりようがあるから、悪役のほうが面白いよね」

主役には作り手や世間から求められるイメージがあるが、悪役はその縛りから自由なのである。

だが、バランスが難しいと寺田は続ける。

「悪役が立ちすぎてしまってもドラマが成立しなくなってしまう。『半沢直樹』('13年、TBS系)のように、善悪の図式とバランスが拮抗していると、やはり面白い。出演のシーンは主役が7割だとしたら、悪役は3割ぐらい。

その少ない出番で、キラリと光るクセや特徴をはっきりみせなければいけない。そこに自分なりの工夫が必要なんです。

最近では、良い人か悪い人かわからない役を演じるのが好きだね。いつも笑っているけど実は巨悪だったという役がいい。

本来、人間ってそう。限りなく白に近いけど、黒も混じっているようなグレーな存在。そういう悪役を意識すると演技も深くなると思う」

香川照之Photo by GettyImages

今年春クールで高視聴率を獲得した『小さな巨人』(TBS系)は、『半沢直樹』のスタッフが再集結し、いまや悪役の代名詞となった香川照之(51歳)が再び印象深い演技を見せた。

「当初は、『半沢』と同じように、香川さんが悪玉を演じて、最後にギャフンと言わされる物語だと誰もが思ったはずです。しかし、その香川さんのイメージを逆手にとって、ラストはまったく違う展開でした。見事ですし、幅の広い演技ができる香川さんならではです」(民放テレビ局員)