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妻と別居で毎月22万円の赤字に…「婚姻費用」に押し潰される男たち

~なんと年収も200万円ダウンした
西牟田 靖 プロフィール

子供を虐待する妻

そもそもAさんはなぜ別居することにいたったのか。

「妻はパーソナリティー障害(本人の性格に起因する精神疾患。対人関係での支障、衝動的行動、あり得ない返答などによって社会生活に困難を来す)に悩んでいました。感情のコントロールが効かないんです。

ファッション雑誌のモデルをやったこともあって、夫の私が言うのは僭越ですが、かなりの美人なんです。

そうした外見とは裏腹に、平気で嘘はつくし、カッとなると見境がなくなって暴力を振るってくる。私は体育会系ですから、怪我をさせられても耐えることはできます。しかし、幼い子どもたちへの虐待は見過ごせないものがありました。

しつけだと称して当時2歳の長女を真冬にTシャツにおむつ姿で放置したり、泣き声がうるさいと言って羽交い絞めにして窒息寸前まで口を押さえつけたり、投げ飛ばして額に大きなこぶができる怪我をさせたりしていたんです。

子どもたちはいつも妻に怯えていて、妻が自分の髪を触るだけで、『殴られる』と思って身構えるほどでした」

Photo by iStock

Aさんは日々忙しく働きながら、家では妻の暴力を受けとめ、時間を見つけては妻を診てくれる病院を探し歩いた。なかなか受け入れてくれる病院が見つからず、関東近県各地を探し回った。数ヵ月後、診療してもいいという病院をようやく見つけた。

ところがだ。診察まであと数日に迫った昨年の春、その日がやってきた。Aさんの妻が突然、二人の子どもを連れて北海道の実家へ帰ってしまったのだ。Aさんは突然の出来事に衝撃を受ける。子どもだけでも取り戻そうと思い、弁護士に相談するのだが、追い打ちをかけるように経済的な苦境に陥っていく。

 

「まず、痛かったのが弁護士の着手金50万円です。頼んだのは、離婚問題に大変強いと評判で、パーソナリティ障害にも詳しいという弁護士事務所です。ワラにもすがる思いでお願いし、着手金を支払いしました。

担当として出てきたのは事務所のトップではなく、若手の弁護士。調停のために東京から北海道まで飛行機での出張をお願いしたところ、プレミアムシートを要求してくるわ、『パーソナリティー障害だからと言っても裁判であなたが勝てるかどうかわからない』とか言ってくるわと散々な態度でした。

あまりにもひどいので、1週間ほどで解任したんです。まだ裁判も何も動いていないので少しぐらいは返金するのかと思ったらビタ一文返って来ませんでした」

Aさんの出費はこれだけに終わらない。千葉の実家に引っ越した分の運搬費とマンション購入のキャンセル料をあわせた約250万円という不動産がらみの出費があったり、子ども二人のために約150万円分を積み立てていた銀行口座の通帳やカードが妻に持ちだされたりもしたという。

減ったのは貯蓄だけではなかった。月々の収入も同様だった。

「離婚や面会の調停に出向くため、何かと会社を休まねばなりません。それまでの、激務だけど高給、という部署から外された結果、約700万円の年俸(支払金額)が500万円台(同)にまで減ってしまいました」

今後、婚姻費用の支払いが加わった場合、貯蓄は持つのだろうか。

「子どものことで、このまま争い続けたら3年後ぐらいにはスッカラカンになるでしょう。お金のことだけ考えたら、早く離婚したほうが楽なんです。

婚姻費用ではなく養育費となるので妻の生活費を払う必要がなくなりますし、弁護士費用もいらなくなりますから。

しかし、私を慕ってくれている子どもたちのことを考えると、離れ離れになるのだけは嫌なんです。子どもたちだって私と一緒に住むことを望んでいるんです」