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企業・経営 不正・事件・犯罪 週刊現代

戦後最大の「1兆円倒産」タカタはどこで何を間違えたのか

銀行はこうして創業家を見捨てた

自動車業界でも例を見ない巨額のリコール問題の中心になったタカタ。だが、創業家会長は説明責任を果たす気もないらしい。世界トップシェアを誇った優良企業が転落するにいたった失敗の本質とは。

最後まで抵抗した高田一族

「6月16日に日経新聞が『タカタが民事再生法申請へ』と報じましたが、このような形で民事再生法手続きの報道が先行することは極めて異例です。

株式も16日当日は報道の真偽確認のため、終日売買停止。週明けの19日は取引は再開されたものの大量の売り注文が残り、大混乱。東京証券取引所もタカタの情報開示の遅さに業を煮やしていました」

 

こう語るのは東京商工リサーチ松岡政敏氏。

タカタ自身は「現時点において当社として何ら決定した事実はございません」と法的手続きに入る予定を否定しているが、26日にも申請されるという報道もある。そうなれば負債総額は1兆円を超え、製造業の倒産としては戦後最大になる。

「タカタは、TKJという不動産事業などを行う高田家の資産管理会社、高田重久会長とその母である暁子氏が全株式の6割も握る典型的なオーナー企業。一族はぎりぎりまで私的整理を望み、民事再生法適用による再建に抵抗していた。私的整理ならオーナー一族も経営陣に残ることができるし、株式も紙切れにならずに済みますからね。

しかし、いつまでもリコールの処理が長引いて余計なとばっちりは受けたくない自動車メーカー、再建のスポンサー候補、そして監督官庁である国交省などの思惑が一致し、タカタの外堀を埋めるためにリークしたというのが市場関係者の見立てです」(大手経済誌記者)

高田会長Photo by GettyImages

もともとタカタはエアバッグで約2割という世界のトップシェアを誇る超優良企業だった。それがこうして破綻寸前に追い込まれるに至るまでには、いくつもの経営判断の誤りがあった。

事が大きくなった発端は'14年9月に米NYタイムズ紙が、タカタとホンダがエアバッグの欠陥を認識していたにもかかわらずそれを公開していなかったと報じたこと。だが、問題の根源はその10年以上前から明らかになっていた。元ペンタックス社長で現エクスキャリバー代表浦野文男氏が語る。

「'04年に、アメリカ本社は問題があることを把握していたことがわかっています。アラバマでエアバッグの破裂事故が報告された後、ミシガンにある米国本社で試験を行っていたのです。この段階で問題の火薬を使った製品の製造をストップするべきでした。

当時の社長、高田重一郎氏(重久氏の父)まで情報が上がっていたかはわかりません。もし上がっていて、それを握りつぶしていたのならば言語道断ですが、現場が『問題はあるようだが、事故が実際に起きる危険性は極めて低い。社長に上げるような案件ではない』と、殿様社長を『忖度』した可能性が高い。

このとき問題に正面から向き合っていれば、リコールの対象車が1億台というとんでもない数になることもなかった。小さな問題であっても上に報告するコンプライアンスがまったく働いていなかったことがいちばんの原因でしょう」