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赤字22億円!名門・東京女子医大が「危機的状況」に陥っていた

職員向け「決算報告書」をスクープ入手

児玉誉士夫が頼ったのも、長嶋茂雄が頼ったのもこの名門大学病院だった。だが、スター医師たちは次々と大学を去った。医療事故でブランドとカネを失いつつある女子医大に、何が起こっているのか。

悪夢は3年前にはじまった

東京・河田町の東京女子医科大学病院。PCでイントラネットを開いた医師たちは、表示された文書を目にして、暗澹たる気分になっていた。6月7日のことだ。

薄々とは気づいていたが、勤務する名門医大が、崩壊の危機にあることを、まざまざと見せつけられたからだ。

〈平成28年度の収支差額は22億円の赤字で3年連続赤字となりました。〉

〈これ以上医療収入が減少しますと、法人存続にかかわる危機的な事態となります。〉

〈3年連続赤字により、現在の本学には現預金の余裕は全くありません。〉

悲痛な文言が続く文書は、「教職員各位」と題されている。同大の吉岡俊正理事長が、'16年度の決算を説明したものだ。

創立117年を誇る東京女子医大の「終わりのはじまり」は、3年前のことだった。だからこそ、内部文書もここからはじまっている。

〈平成26年2月に起きた医療事故を発端として、本院は平成27年6月1日に2度目の特定機能病院の承認取り消し処分となりました。〉

'14年2月、女子医大病院で、2歳の男児が死亡した。麻酔薬「プロポフォール」を大量投与され、容態が急変したにもかかわらず、適切な処置がとられることなく、絶命した医療事故だ。

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厚労省は事態を問題視し、「特定機能病院」の承認取り消しを行った。高度な医療を提供している病院に国が「お墨付き」を与える「特定機能病院」には、全国で現在84の病院が指定されている。そこからの脱落は、女子医大の財政を直撃した。

「入院・外来ともに患者数がみるみる減っていったんです。あれだけの事件を起こした病院は避けたいというのが人情です。ブランドが地に落ちてしまった」(同大の医師)

混雑とは言い難い待合室。教職員向けの決算資料にはこうある。

〈外来については法人全体での患者数は平成27年度が前年度比11万2492人減少、平成28年度が前年度比8万1821人減少しており、2年間で約19万人も減少〉

入院患者も2年間で約7万3000人減った。

 

先の文章に「2度目の」取り消しとある。実は同病院は、'01年3月に12歳の女児が心臓手術後に亡くなった医療事故をきっかけに、'02年から5年間、特定機能病院の承認を取り消された過去がある。

「あの時も経営が一気に悪化しました。承認取り消しは、診療報酬の優遇がなくなるうえ、補助金もカットされるため、大学病院としての機能を失うに等しい。'07年に特定機能病院に再指定され、なんとか再建したと思っていたが、悪夢が再来したのです」(前出の医師)