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学校・教育 週刊現代

慶應義塾の「疑惑の塾長選」そのウラ側をぜんぶ書く!

なぜか二位が勝利して、会議が大炎上

塾長とは、慶應義塾の塾務を総理する代表的存在。4年に1度、その塾長を選ぶ一大イベントをめぐって異例の事態が勃発。「社中協力」を旨とする慶應義塾で、かつてないほどに内部が割れている。

「異議あり」と声が上がった

〈本当ですと、こんなところで皆さま方のような諸先輩方を前にお話しするのは、そういう未熟な私がお話しするのは失礼なのですけれども、普段子供たちに、言うべきことは言いなさい、権力にひるんではいけませんと教えている以上、震える手でマイクをつかんでお話しさせていただきます。

(中略)1票の重みと、そしてその真剣な教職員、その価値をぜひ評議員の皆さまにお考えいただきたい。よろしくお願いいたします〉

その議事録からは、当日の現場の張りつめた緊張感がまざまざと伝わってくる。

日本最古の近代的高等教育機関として知られる学校法人・慶應義塾。5月末にその新塾長として長谷山彰・前常任理事が就任したが、このトップ人事をめぐって、少なくない慶應関係者の間で不信感が広がっている。

塾長選出の際には、学内投票で得票数が1位だった候補者が塾長に就くのが過去の慣例。それなのに、今回はなぜか2位だった長谷山氏が選ばれる異例の結果となったうえ、その選考過程が「不透明」であったとの指摘が出ているためである。

 

今回、本誌が入手したのは塾長を最終的に選任するために開かれた、慶應義塾の最高議決機関である「慶應義塾評議員会」の議事録である。実際、そこには選考過程において会議が紛糾した様がありありと描かれている。

議事録によれば、評議員会は4月20日午後2時から始まり、慶應大学三田キャンパス内の東館ホールに、評議員79名が集まった。

評議員は教職員や卒業生などから構成され、この日は日清食品ホールディングス社長の安藤宏基氏、商船三井元社長の生田正治氏、トヨタ自動車元社長の渡辺捷昭氏など「三田会重鎮」たちが勢揃いしていた。

そんな会は、冒頭からして異様な雰囲気に包まれることになる。議長である三井不動産会長の岩沙弘道氏が、〈長谷山彰君を次期塾長に選任することについて、評議員各位のご賛同はいただけるか〉と、早々に承認を求めようとした途端、会場から「異議あり」との声が噴出したのだ。

「途端、議事進行を務める岩沙議長の表情は強張った」(出席者の一人)

まず、口火を切って発言をしたのが慶應普通部で中学生を教えている宮内完二氏。冒頭に記したように、居並ぶ現役幹部や大物OBらを前に立ち上がり、2位の長谷山氏が塾長に選ばれようとしていることへの疑問を投げかけたのである。

続けて、慶應大学商学部教授の樋口美雄氏もマイクを握ると、議長に〈説明〉を迫った。議事録には次のようにある。

〈ともかく教職員の予備選挙において1位でなかった方が塾長に候補として指名されるということは、私の知る限りにおいては初めてのことと思っております。(中略)教職員の方々から理解を得るといううえでは、そのプロセスをやはり透明化し、そして説明をお願いしたいと思います〉