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「途上国のAmazon」になる⁉こんなスゴイ日本企業があったのか

アフリカでは誰もが知っています

東芝、タカタ…日本企業の暗いニュースが続く。だが目先を少し変えると、世界を舞台に飛躍を遂げた、知られざる日本企業がまだまだある。ビジネス界で話題沸騰の書『無名でもすごい超優良企業』著者の田宮寛之氏が、その一端を明かした。

目をつけたのは「中古車」

もはや地球上にフロンティアはない、と思っている人が多いだろう。通信手段や航空機網の発達を考えれば、それも無理はない。しかし、ビジネス上のフロンティアはまだ存在する。それはアフリカだ。

アフリカは天然資源に恵まれているし、若くて巨大な人口がある。大きく成長する可能性を秘めた地域なのだ。2010年にアフリカの人口は10億人を突破し、2015年に12億人となった。2020年には13.4億人、2030年には16.8億人に達してインドや中国を上回り、2050年には24.8億人まで増加する(国連予想)。

ただ単に人口が増加しているのではなく、アフリカ経済は人口増加とともに確実に成長し続けている。2000年のアフリカのGDPは3000億ドル半ばだったが、2014年には約5倍の1兆8000億ドルに達している。

成長著しいアフリカの人々の間で、最も人気がある日本企業といっても過言ではないのが、2004年に設立されたビィ・フォアード(非上場)だ。同社は越境EC(電子商取引)サイトによる中古車輸出を手掛けている。日本国内で中古車を仕入れて、アフリカなどの新興国に輸出しているのだ。2015年の販売台数11万6000台のうち、7割がアフリカ向け。取引先はアフリカ内42ヵ国に及ぶ。

 

日本国内では無名だが、アフリカでは知らない人がいないほど有名であり、社長の山川博功氏が現地政府からVIP待遇を受けるという企業だ。同社の運営する越境ECサイト「BE FORWARD.JP」はアフリカ各国でフェイスブック、グーグル、ユーチューブなどと一緒に人気サイト上位にランキングされている。

日本車は中古車になっても性能が高い。日本人は車をもの凄く丁寧に扱ううえ、定期点検や車検で細かくケアする。さらに道路事情がいいので、車が傷まない。そして、日本は鉄道網が発達しているので、どうしても長距離を運転しなければならないということがなく、走行距離が短い中古車が多い。

日本車は、国内だけで使用していれば100万km走ることが可能といわれているが、数万kmで買い替える人がほとんどだ。日本人は新車志向が強いので、車両登録してナンバープレートを付けただけで、車両価格は3~4割も低下する。5年もすれば車両価格がほぼゼロになる車種も珍しくない。まだまだ十分に走る車の価格がとんでもなく安いわけだ。

走行距離10万キロでも「新車」

ビィ・フォアードは日本国内では売り物にならない古い車や、走行距離の長い車を安く仕入れて輸出することで収益を伸ばしている。アフリカでは日本の中古車が高く評価されていて「走行距離10万kmの車をニューカーと呼ぶ」(山川社長)。

通常、中古車の輸出は個人ではなく企業を対象とする。相手が個人では手続きが面倒だし、代金の回収に不安がある。しかし、ビィ・フォアードの販売先は圧倒的にアフリカの個人が多い。

同社は日本国内でユー・エス・エスなどが運営するオークションで中古車を仕入れる。その後、同社のサイト「BE FORWARD.JP」に掲載し、注文が入れば前払いで代金を受け取った後、日本から車を輸出する。サイトは6ヵ国語対応なのでアフリカの一般人でも簡単に注文できる。前金制なので代金回収の心配もない。

アフリカ内の自動車販売会社も仕入れのために「BE FORAWRD.JP」に注文してくるが、同社としては個人と自動車販売会社で対応の仕方を変える必要はない。

同社はECサイトの運営をしているのであって、現地に販売店を出店してはいない。しかし、アフリカ内で独自の輸送網を築き上げている。新興国に向けた輸出事業で重要なのは「輸送」。特にアフリカでは、幹線道路や輸送システムが未発達なため、多くの場合は港に商品を停留させて、買い手が商品を回収するという手法がとられている。