政治政策

官邸はやっぱり、文科省の「あの文書作成者」を左遷するつもりか

「報復人事」それが一番恐ろしい

官僚がもっとも嫌う措置

文科省の官僚が流出させたと見られる一連の「加計学園文書」は、磐石かと思われた「安倍一強政権」を揺るがし、内閣支持率を低下させて都議選の行方を左右、憲法改正など安倍晋三首相が思い描く政治スケジュールにまで影響を及ぼしている。

トドメのように表面化したのは、「10/21萩生田副官房長官ご発言要旨」という文書である。「総理は平成30年4月開学とおしりを切っていた」と、安倍首相の意向を伝える文言が入っており、首相の「具体的関与」を示す決定的証拠といえた。ただ、松野博一文部科学相は、文書の存在は認めたものの、萩生田氏は完全否定。引き続き「言った」「言わない」の世界に入り込んだ。

もっとも、この文書は作者がハッキリしているだけに、今後の人事的処遇は、官邸と文科省の争いの行方を占うことにもなりそうだ。

作成したのは、高等教育局専門教育課の牧野美穂課長補佐。青山学院大学法学部を卒業後、2006年3月、文科省に入省したキャリア官僚で、義務教育やスポーツ行政などの分野を歩み、予算編成などの実務に精通。現在、所属の獣医学部を所管する専門教育課には14年8月から配属されている。

「牧野さんは、旦那も同期のキャリア官僚で、美男美女カップルとして省内でも有名。優秀な若手で負けず嫌いだけど、人の懐に入るのがうまい『オヤジキラー』です。心を揺さぶられる幹部も少なくなく、かつて前川(喜平前事務次官)さんと某幹部が、部下にしようと牧野さんを取り合ったのは省内でも有名なエピソードです」(文科省官僚)

 

そんな子飼いの作成文書だからか、前川氏は6月23日、日本記者クラブで行われた記者会見で、こう擁護した。

「文書を作成したとされる課長補佐はよく知っているが、極めて優秀なので虚偽を書いたり、聞き間違いが入ったりした文書を作ることはありえない」

牧野氏は、それまでにも流出した「総理のご意向」や「萩生田副長官の指示」と書かれた文書の作成者でもあるだけに、官邸がこのまま彼女のことを放置するとは思えないが、萩生田氏が局長を務める内閣人事局は、各省庁約600名の幹部人事に影響力は行使しても、それ以下の人事に直接、関与することはない。

ただ、人事は上が決まると、玉突きで異動が発生、下にまで影響が及ぶ。そういう意味で、牧野氏の処遇を含む夏の文科省人事が注目されているが、少し遅れそうだ。

「官邸は、文科省の誰が味方で誰が敵かの見極めに時間がかかっている。7月3日の週の予定が中旬にずれ込むかも。敵味方にメドがついたら、前川氏の暴走を抑えられなかっただけに、それなりの報復を行うだろう。おそらく交流人事名目で官邸の息のかかった幹部が、経済産業者や国土交通省から送り込まれる。組織の独立性と省内秩序が奪われるわけで、官僚が最も嫌う措置だ」(大手紙官邸記者)