2017年5月25日、母校ハーバードにて〔PHOTO〕gettyimages
金融・投資・マーケット 世界経済

ザッカーバーグがハーバード大でのスピーチに込めた本当のメッセージ

これは歴史にのこる「建国宣言」だ

ザッカーバーグの発言は政治的?

2017年5月25日、マーク・ザッカーバーグは母校ハーバードの卒業式でスピーチを行った。

講演のテーマは「ポーポス(Purpose:目的)」。

よく知られるように、ザッカーバーグは起業したばかりのFacebookの経営に集中するため、ハーバードを中退していたのだが、このスピーチの直前に、学士号どころか名誉博士号をハーバードから授与され、晴れて「ドクター・ザッカーバーグ」として後輩たちに門出を祝う言葉を贈った。

そのスピーチの中で彼が強調したのは、彼ら世界中のミレニアル世代の誰もが「ポーポス」を持つことのできる時代を築くことの重要性だった。

確たるポーポスの存在こそが、何か社会的に大きなものとの繋がりを実感させ人生を豊かにし、しばしば幸福の源泉になると、ザッカーバーグは考えているからだ。

実は、このスピーチに先立つ2017年2月に彼は“Building Global Community”というタイトルで「グローバル・コミュニティ建設宣言」とでもいうべきレターをFacebook上で公開していた(https://www.facebook.com/notes/mark-zuckerberg/building-global-community/10154544292806634/)。

彼自身すでに、世界の人びとが「目的を持てる=幸福になれる」機会を築く、という〈ポーポス〉の実践に努めているのである。ハーバードでのスピーチもそうした彼の希望の現れの一つだったのだ。

ザッカーバーグ名誉博士号を授与されたザッカーバーグ〔PHOTO〕gettyimages

こうした行動は、ザッカーバーグ自身は否定するものの、トランプ政権誕生後の現代では、強い政治性を帯びているように思える。

レターの中で彼自身も認めているように、トランプ以前の世界でなら、「グローバル・コミュニティ」という言葉を使っても、地球規模のSNSであるFacebookのCEOであれば当たり前の発言であり、せいぜいPR活動のための惹句の一つぐらいにしか思われなかった。

だが今では政治的マニフェストの一つにすら見えてしまう。

 

というのも、アメリカ第一主義を掲げ、ラストベルトを筆頭に「忘れられた人びと」の反意を結集させて勝利したトランプ政権の誕生により、Facebookどころかシリコンバレーという存在そのものが、トランプ旋風という逆風にさらされることになった。それは大統領選後の現在でも変わらない。

シリコンバレーのあるカリフォルニアが、ブルーステイト(民主党支持州)としてトランプ政権に真っ向対立する動きを見せているのは以前にも紹介したが(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50883)、そのような流れを見れば、オープンを是とし国境にこだわらず、文字通り「地球規模(=グローバル)」のコミュニティをつくろう、というザッカーバーグの発言は、それだけで十分、政治的色彩を帯びている。

むしろ、今まで誰もが当たり前だと思っていた「オープン」や「コネクティビティ」という言葉が、どれだけ「自由」志向の政治的価値を帯びたものであったか、思い知らされる。

シリコンバレーの興隆も、「インターネットの自由」という民主党が堅持してきたバリューあればこそ実現できたものだったのだ。

新生・ブルーバックス誕生!