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東京オリンピック「経済効果予測」のオカシさを暴こう

「7兆~32兆円」の根拠ってなんだ?

東京オリンピックまで、あと3年。いまだ諸問題は落ち着かないが、私たちはこのイベントについてどれほど知っているだろうか。

ジャーナリストの森田浩之氏がオリンピックの知られざる重要な側面を追い、「TOKYO 2020」を多角的に考えるための連続リポート。第1回は、繰り返しアピールされる「経済効果」なるものを問う。

予測がバラバラな「経済効果」

経済効果──オリンピックのようなメガスポーツイベントには、このバラ色の言葉がつきものだ。

バラ色の言葉は今、こんなバラ色のイメージを東京と日本にふりまいている。

……2020年東京オリンピックのために競技施設が建設され、インフラが整備される。お金が動き、雇用が生まれ、経済が活性化する。さまざまな関連業界にも、経済波及効果がもたらされる。

大会にやって来る外国人観光客を見込んで、宿泊施設が建設される。さらにお金が動き、雇用が生まれる。大会が幕を開ければ外国から多くの観光客が訪れ、お金をたっぷり落としていく。

東京と日本は17日間にわたり、世界中のテレビに映し出される。この宣伝が大会後にいっそうの効果を発揮する。日本を訪れる外国人はさらに増え、日本製品が売れまくる。オリンピックは日本経済が再び飛躍するきっかけとなる……。

これこそ、まさに景気のいい話だ。東京オリンピックの経済効果については、すでに東京都や民間シンクタンクが試算を発表している。その規模は約7兆〜32兆円と途方もない。

 

この数字を聞けば、オリンピックが日本の景気を引き上げてくれると期待するのも無理はない。

でも、ちょっと待ってほしい。

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経済効果の予測が7兆円から32兆円までバラバラなのはなぜなのか? 前提が変わることで金額が変わっているとすれば、それは経済効果という概念自体があいまいな証拠ではないのか?

それどころか、経済効果なるものは本当にあるのだろうか? 開催国の政治家たちは、経済的な恩恵を約束する。しかし経済学者の見方はほぼ一様に否定的で、オリンピックの経済効果は幻想にすぎないという。

米ミシガン大学のステファン・シマンスキー教授は、スポーツイベントが経済効果を生むことを証明したまともな学術論文はひとつもないと指摘する。

「むしろ、逆のことを証明した素晴らしい論文ならある。大きなスポーツイベントを開催することは経済的な負担になると結論づけたものだ」

オリンピック経済幻想論』(邦訳・ブックマン社)の著書がある米スミス・カレッジのアンドリュー・ジンバリスト教授は「オリンピックへの投資は、まったく投資としての価値はない」と言う。

米シカゴ大学のアレン・サンダーソン教授は「オリンピック向けに完璧な施設を建てても、大会が終われば邪魔ものでしかなくなる」と語る。

経済学者は口をそろえて、オリンピックの経済効果を否定する。では、発表されている2020年大会の経済効果予測は、何を根拠にしているのだろう?