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格差・貧困 ライフ

「出演料1本6万円」のセクシー嬢が、それでも高飛車な理由

オンナの収支報告書【26】

鈴木涼美さんが独自の夜人脈を駆使してオンナのおカネの稼ぎ方・使い方について取材・考察する本連載。今回は、高スペックにもかかわらず出演料1本6万円の低価格AV女優さんの「若干謎の価値観」に迫ります!

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名誉職ほど安いお金で働いている

仕事は食べるためにする、というのが基本的な真理だとは思っているが、それだけでは当然説明がつかないのが人間の可愛らしいところで、食べられるほどの対価がなくとも嬉々としてやりたい仕事にしがみつく人もいれば、全く一生食べるのに困らないほどの収入があってもさらにそれを倍にするにはどうすればいいのか考えるのに毎日を費やす人もいる。

 

最近の主流の、というか素敵な人たちの主張としては、ただお金を稼いだり社会的地位をあげたりするために働くというのは若干古いというかバブル臭がして、もっと自己実現や生きる意味に繋がるような働き方を望む人が増えている、というのもよく聞く。

それは別に新しいわけではなくて、マルキューの店員やグラビアアイドルみたいな名誉職は「それをやってるワタシ」という自尊心が重要なのであって、それにつけこんでというと聞こえは悪いが、びっくりするほど安いお金で働いていることもある。

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基本的には、欲しい収入というのがあって、それを満たせる職の中で、最も自分がやりたい、あるいは向いている、あるいは不快感が少ないものを選ぶというのが正常な職業選択であると私は思っている。

ただ、就職試験と新卒採用が結構な比重で人生を決める昼職の世界はなかなかそうもいかなくて、せいぜい正社員だとか土日休みだとか自分が譲りたくない最低限の条件を照らし合わせた上で、受かったところで働くという人も多い。

一方、新卒などが関係のない夜職の場合は、よりその条件と内容と対価での判断の占める割合が高く、自分のスペック(年齢と体型と顔)を基準に、最低でもいくら欲しいか・(体力的にもプライド的にも)どこまでできるか、を鑑みて職種を決められる。本当は月収100万円は欲しいけど風俗だけはやりたくないからキャバクラで60万円に甘んじるとか、本番は抵抗がないし最低一日10万円は欲しいけどNSだけはイヤだとか、顔の写真や動画が全国にばら撒かれるくらいならNS店で働いた方がマシだとか、キスと指入れは耐えられるけどオーラルだろうが下のお口だろうがチンコだけは絶対触りたくないし触るくらいなら月収50万円以下でも致し方ないとか考えながら仕事を選ぶのが普通である。

人によってはSMが好きでたまらないとかAV女優として有名になるのが生きがいとか、ごくたまには売春が大好きとかいう変わった人もいるが、基本的にはそういう人は割と少数派で、高額のお金と引き換えに何かしらをすり減らして生きている。

私は最近の主流の、というか素敵な人たちと違って給料というのは昼だろうが夜だろうが苦痛の対価であると固く信じているので、別にそれについてはなんとも思わない。

で、この苦痛というのが人によって結構様々で、最近貧困系ルポに登場しがちな月収20万円に満たない風俗嬢なんかの事例を見ると、そんな金額なら何も裸になったり知らない人とホテルなんか入らなくても昼職バイトでも探せばいいのに、と思うのもまたごく真っ当な意見ではある。

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そうではあるのだが、当人にとっては、月収20万円で毎朝7時に起きたり、生理中も変わらず労働させられたりする苦痛に比べれば、人前で裸になったりおじさんとホテルに行ったりする方が余程ラクという人もいるので安易に救いの手を述べるのは非合理的である。

そもそも圧倒的な出勤の自由度こそ夜職の魅力だと考えている人は少なからずいるし、シングルマザーなどその恩恵を十分に受けている人も多い。

ただ、やはりその職種に世間が期待する相応の金額というのはあって、例えばコンビニの深夜バイトの給料が時給5000円だったり、逆に高層ビルの窓拭きの時給が800円だったりすれば、何かがおかしい、と人は訝しむものである。

そして、1本10万円以下のギャラでAVに出るという行為は多くの人にとって、その類のものであるらしい。というか、デビュー作から10万円、2本目以降は3〜6万円で出演するアオイちゃんに会った時は、私自身もドンキホーテに並んでいるかのようなその激安の殿堂っぷりに結構驚いた。

 
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