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「易きに流れる」集団になり下がった地銀・信金・信組よ、目を覚ませ

旧来のビジネスモデルはいまや四面楚歌

金融機関に「フィデューシャリー・デューティー」(=真に顧客本位の業務運営)の徹底を求める金融庁の資産運用改革が勢いを増している。森信親長官率いる金融庁の本気度を察し、大手金融機関などが続々と業務指針の見直しを進めている。

とりわけ、地方創生との関係で、地域金融機関 (地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合)の変化への期待が高まっている。少子高齢化の影響に苦しむ地方の中小企業にとって、地域金融機関からの支援は頼みの綱だからだ。

地銀、信金、信組はいまどう動こうとしているのか、どう動くべきなのか。大手邦銀、外資系銀行勤務、地銀の社外取締役などを経て、現在は金融庁「金融機能強化審査会」の会長代理を務める地域金融の専門家・多胡秀人氏が語る。

地域金融機関が史上初めて表舞台に

長年、メガバンクなど大手金融機関の脇役に甘んじてきた地域金融機関が、表舞台に立ったのは史上初といっても過言ではない。

2015年12月に鳴り物入りでスタートした、金融庁の「金融仲介の改善に向けた検討会議」(8人の外部専門家で構成)の主たる論点も、地方再生を展望した地域金融機関の変革である。

金融庁の地域金融改革に焦点を当て、大ベストセラーとなった『捨てられる銀行』(橋本卓典、講談社現代新書) の読者層は当初、金融機関関係者が中心だったが、燎原の火のごとく中小企業経営者や会計士・税理士へと広がっていった。

そうした中小企業経営者たちに対して、2015年の秋以降、金融庁はヒアリングやアンケートでアプローチを続けてきた。彼らの声は私のもとにも届いている。

「ドラマ『半沢直樹』で片岡愛之助が演じる黒崎検査官の役割(銀行への立ち入り検査)こそが、金融庁の立場そのものだと思っていたが、最近の動きを見ていると、どうやら我々の味方らしい」

 

石橋を叩いても渡らない体質

そもそも地方銀行には、旦那衆として地域における産業資金を供給し、地域産業を育成してきた長い歴史がある。また、信用金庫や信用組合は、相互扶助の精神の小規模零細金融を支えてきた。

それぞれ生い立ちは違っても、地域金融機関が地域経済の発展のためにリスクマネーを供給しつづけてきたことは間違いない。これこそが地域金融機関の本来の姿であり、各社の経営理念にもしっかりと書き込まれている。

ところが、1990年代に入ると、多くの金融機関がノンバンク向け融資や不動産関連融資などに傾注するようになり、バブル崩壊とともに巨額の不良債権を抱えることになる。地域金融機関も例外ではなく、バブルにまみれた相当数の地域金融機関が退場した。

そしてその後遺症から、地域金融機関の多くは担保・保証に過度に依存した融資姿勢を崩さず、石橋を叩いても渡らない体質となった。

バブル期とその後の20数年間で、地域金融機関の多くは、借り手の事業の中身を見て金を貸すという融資の原理原則を忘れてしまったようだ。担保・経営者保証への過度な依存、信用保証協会の保証制度ありきの融資など、「易きに流れる組織集団」になってしまった。