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文在寅政権が満を持して打ち出した「南北和解策」の中身

「金正恩の夢」は結実するか

文在寅の「攻勢」3連発

今週29日と30日にワシントンで行なわれるトランプ大統領と文在寅大統領の初めての米韓首脳会談を前に、文在寅政権の「攻勢」が続いている。

第1弾は、ワシントンに先乗りした文正仁(ムン・ジョンイン)大統領府統一外交安保特別補佐官が16日に述べた「爆弾発言」だ。

「北朝鮮が核・ミサイルの挑発を中断するなら、米韓合同軍事演習や韓国国内のアメリカ軍の戦略兵器を縮小できる」

アメリカでは、北朝鮮に拘束されたアメリカ人大学生、オットー・ワームビア氏が、昏睡状態のまま帰国した時期と重なったため、この文補佐官の発言は大いに批判された(ワームビア氏は19日に死亡)。そのため、「青瓦台」(韓国大統領府)は「文発言」を「公式見解ではない」と慌てて否定した。

だが実際には、「文発言」はまさに、上司にあたる文在寅大統領のホンネである。加えて今週の米韓首脳会談で、文大統領がトランプ大統領に呑ませようとしている内容なのである。

文在寅政権の「攻勢」の第2弾は、20日、来年2月の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックを「南北共催も検討する」と、都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光相が発言したことだ。

日本の新聞はこのニュースを、ベタ記事で報じただけだった。同様にテレビでは、「国連の経済制裁を受けている国でまさか」と、コメンテーターが一笑に付していた。

いずれも都長官の発言の「重み」を理解していない。これも文在寅大統領のホンネであり、トランプ大統領に直接訴えかけるものと思われる。

 

文在寅政権の「攻勢」第3弾は、24日、文大統領自身が、全羅北道の茂朱(ムジュ)で始まったテコンドー世界選手権の開会式で、こう述べたことだ。

「平昌冬季オリンピックでは、南北合同チームを結成し、開会式では合同入場行進を実現させたい」

この発言は、張雄(チャン・ウン)IOC委員率いる北朝鮮選手団の前で述べたものなので、北朝鮮に対して「公約」したに等しい。文大統領としては、トランプ大統領に会う前に、「既成事実」を作ってしまったのである。

「南北共同開催」の場所

韓国と北朝鮮は過去に、スポーツ大会を利用して南北和解を演出した前例がある。

1985年の神戸ユニバーシアードでは、南北共通の応援旗を掲げて応援した。南北和解が絶頂に達した2000年のシドニー・オリンピックでは、南北選手団が統一旗を掲げて入場行進している。2000年の釜山アジア大会でも、北朝鮮の「美女軍団」が話題になった。その中には、いまの金正恩委員長夫人の李雪主氏も含まれていた。

文在寅大統領としては、こうした南北和解の時代に北朝鮮が核実験もミサイル実験も行っていないことを挙げ、平昌オリンピックを利用して北朝鮮の「暴走」を食い止められると、トランプ大統領に述べたいのである。すべてはアメリカに向けた計算ずくのメッセージと言える。