Photo by iStock
エンタメ

江戸時代から「マジ・ヤバい」はふつうに使われていた

「ビビる」にいたっては平安時代から…

意味も現代とほとんど一緒

「あいつマジでムカつかない?」
「ヤバいよねー、マジビビるよねー」

電車やバスの中で、若者同士のこんな会話を耳にしたことがある人は多いだろう。若者の「言葉の乱れ」を年長者が嘆くというのは、いつの時代も変わらない。

だが実は、この会話に出てくる「マジ」「ムカつく」「ヤバい」「ビビる」は、いずれも遥か昔から使われてきた言葉だ。

まず、「マジ」は江戸時代に芸人の楽屋言葉、いわゆる「業界用語」として生まれたもの。今と同じ「真面目に」という意味で、「マジになる」「マジな心」といった用法が確認されている。

「ムカつく」は、「胃腸がむかつく」という言い方がされるように、昔から吐き気や胸焼けが起きていることを指して使われてきた言葉だ。そこから転じて、関西では江戸時代になって「癪に障る・腹が立つ」という現在見られる用法で用いられるようになった。

「ヤバい」は江戸時代の滑稽本・十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも「やばなこと」という表現が見られる。

 

語源は諸説あるが、江戸時代の矢場(射的場)では隠れて売春が行われていたため、そこに下手に居合わせ、役人から目をつけられたら危ないという意味で、「ヤバい」と言われるようになったという説が有力。元々は盗っ人たちの隠語だったため、今でもテレビや新聞では使用を避けられる傾向がある。

昔からあると言われて一番意外なのは「ビビる」かもしれない。「ビビる」という言葉が使われ始めたのはなんと、平安時代まで遡る。

戦の際、鎧が触れ合うと「ビンビン」という音が起きた。これを指して、大軍が動いたときの音を「びびる音」と呼んだのが起源になった。源氏と平氏が戦った「富士川の戦い」で、鳥が一斉に飛び立つ音を平氏側が「源氏軍がびびった音だ」と勝手に勘違いし、ビビって逃げたという有名な逸話もある。

探してみると、普段何気なく使っている言葉にも、奥深い由来があるかもしれない。(岡)

上流の日本語

週刊現代』2017年7月8日号より