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医療・健康・食

タイ「性転換手術ツアー」最新事情〜本当の性を生きたい人たちへ

アレを作るのに400万円…!?

医療ツーリズムのエージェント

医療ツーリズムという言葉が広まっている。その中に、性転換手術も含まれていることをご存知だろうか。

一般的に医療ツーリズムといえば、あまり医療が発展していない国の富裕層が、先進国の最先端医療を受けに来ることを示すことが多い。

難しい外科手術や、その国では認可されていない薬の投与のために、無保険で何百万、何千万円という費用を支払って治療を行うのである。今、日本に医療ツーリズムで来ているのは、中国やマレーシアやタイといった、アジアの富裕層が多い。

一方、日本人のような先進国の人が医療ツーリズムのために海外へ行く場合は、事情が少し異なる。自国では広く行われていない医療を求めて、それが盛んな国へ行くことが多いのだ。

たとえば、日本では原則として代理出産ができないので、ジョージア(旧グルジア)などそれが可能な国へ行く。あるいは、日本ではほとんど広まっていない着床前診断による産み分けを海外で行う。

こうした日本人が行う医療ツーリズムの中で、以前から需要が多いのが性転換手術なのである。

実際に、日本のメディアに登場する「おネエタレント」の中にも、海外で性転換手術を受けたと公言する人は多い。だが、その裏には、彼女たちの医療ツーリズムを支えている人たちも存在する。医療ツーリズムのエージェントだ。

私はこれまであまり知られることのなかったエージェントについて、拙著『世界の産声に耳を澄ます』で光を当てた。

 

駐在員として渡タイ

タイは、性転換手術が広く行われている国として以前より知られている。

この国ではLBGTの人々が自らの性を隠すことなく比較的自由にすごせる風土があった。高度な医療技術を持った医師たちが彼らの性転換手術を支えてきたし、国も医療ツーリズムに力を入れてきた。そうしたことから、世界の中でも、性転換手術の「先進国」として発展を遂げてきた。

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そのタイで医療ツーリズムのエージェントをしているのが、「タイランドIVFサポートセンター」の代表・横須賀武彦さんだ。バンコクの事務所で会った時、横須賀さんはこう語った。

「もともとは一企業の会社員としてタイに来たんです。医療の勉強をしたわけでもなければ、性転換手術に詳しいわけでもありませんでした。いろんな流れの中で、この仕事をするようになったのです」

タイで暮らすようになったきっかけは、ダイヤモンドのカッティング工場を建てるためだったという。宝石店に勤めていた時に、上司から海外赴任を命じられたのである。ちょうど離婚したこともあって自由の身。断る理由はなかった。