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いつまでも消えないタバコ「7つの神話」の真実を明かそう

タバコはリラックスできる、も間違い

喫煙という「最大の喜び」

私はときどき山歩きをするのだが、これからはまさに夏山シーズンである。

麓がうだるように暑くても、高い山に登ると別世界のように爽やかな風が吹き、緑が揺れている。長くてつらい登りの後の達成感と相まって、遠くの峰々を臨みながら深呼吸するのは至福の時間だ。

しかし、きれいな空気を思い切り吸い込もうとしたときに、どこからかタバコの煙が漂ってくる――こんな経験をしたのは一度や二度ではない。すがすがしい山の頂で、澄んだ空気を楽しもうとしているときに、よりによってタバコの煙とは。何とも言えない怒りがこみ上げてくる。似たような体験をしたことがある人も多いはずだ。

それと同時に、なぜこんな空気や景色のきれいな所に来てまでタバコを吸うのか、まったくもって理解に苦しむという気持ちになる。

とはいえ、実はこれは不思議なことではない。

 

喫煙者にとっては、当たり前のことなのだ。喫煙者には、タバコの煙を吸う時間こそが至福のひとときであり、山頂にたどり着いた満足感、きれいな景色を目の前にした高揚感、これらは喫煙者にとっても、もちろんすばらしい体験なのだが、何か物足りないと感じてしまう。

これだけでは、何か大事なものが欠けている。それが、山頂での至福の一服。この時間をパーフェクトにするための最大の喜び、それが喫煙なのだ。

喫煙者の脳はニコチンに支配されていて、それがこのような「山頂の一服」といった不可解な行動につながるのであるが、それを明確に示す実験がある。

喫煙者に、さまざまな画像を見せて、脳が何に一番興奮するかを測定したところ、お金よりも、家族の写真よりも、タバコだったのだという。何と悲しいことかと思うと同時に、改めてタバコに対する依存性の強さに愕然とさせられる。

タバコの依存性はヘロインと同程度

別の実験で、タバコ、ヘロイン、アルコールの依存性の強さを比較したものがある。

喫煙者、ヘロイン依存者、アルコール依存者100人ずつに、それぞれの「薬物」をやめることに挑戦してもらい、1年後にどれだけの数の人がやめ続けることができているかを比較した。

その結果、アルコール依存者が約40人だったのに対し、喫煙者とヘロイン依存者は20人ほどしか残らなかった。

つまり、タバコ(ニコチン)とヘロインの依存性は、同程度であると言ってよいだろう。

ヘロインは数ある依存性薬物のなかでも、最も依存性や毒性が強く、致死性も強い最悪の薬物であるが、タバコは依存性においても、毒性においてもヘロインに引けを取らない。毒性に関して言えば、子どもがタバコを誤飲してしまった場合、たった1本でも死に至ることがある。

あまりに日常的であるゆえに、タバコについてはその害や依存性の強さが過少評価されていたり、間違った思い込みが蔓延していたりする。ここで、以下のような「タバコや受動喫煙に関する神話」について、その真実を述べていきたい。

1. タバコを吸うとリラックスできる
2. タバコはやめようと思ったらいつでもやめられる
3. 軽いタバコや電子タバコは害が少ない
4. ベランダ喫煙や空気清浄機は受動喫煙を防止してくれる
5. 分煙は受動喫煙対策になる
6. タバコとがん発症には関係がない
7. 禁煙とはタバコを我慢することで達成するものである